「29年ぶりの日経平均」と言う人が見落とす真実 もし今の高値と比較するなら、1991年ではない

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さて前出のように日経平均は「29年ぶり、29年ぶり」と連呼されているが、ここでよく考えてみよう。

今は1988年を参考にすべき?

比較対象となっている1991年時は、数字は一見同じでも1989年末の平成バブル高値(終値3万8915円)が崩壊し、1992年の1万4000円台に下げる途中だったことだ。

むしろ、比較するのはそのバブル時の最高値に進む前の1988年(五輪で言えばソウル五輪があった年、アメリカでは「父ブッシュ」が大統領選挙で勝利した年。ちなみにこの年の終値は3万0159円)を参考にすべきではないか。

1988年も、今と同じ「お金じゃぶじゃぶの時」だったが、この時は土地神話が生きていたので、お金の多くは土地に流れた。

株は、「その土地を持っている企業」として、間接的に買われたにすぎない。当時もてはやされた、アメリカの経済学者ジェームズ・トービンが提唱した投資理論「トービンのq理論」を基にした「Qレシオ(実質株価純資産倍率)」が、それを象徴している。

簡単に言えば、Qレシオは、企業の持つ資産(特に土地)を簿価ではなく時価で評価して株価を決める方法だが、バブル時の時価は評価が急変していたため、どんなに高い株価でも正当化できた。

筆者も、こんな体験をしたことがある。当時勤務していた立花証券の近くである霊岸橋のたもとに「今にも運河に落ちそうな20坪ほどの空き地」があったのだが、それをなんと「2000万円で買いに来たやつがいる!」と大騒ぎになった。

「あんな価値のないところを坪100万円で買うのか。まったく馬鹿なやつがいるものだ」と仲間内で噂していたが、後からよく聞くと、空き地全部の値段ではなく、1坪の値段だと知って唖然としたものだ。「2000万円でも高い」と思った土地に「20倍の4億円の気配値」が出るという、狂乱の時代だった。

しかし、今はカネの多くは株に流れている。その意味では1988年の2万6600円台よりも今のほうが、格段にパワーがあると言える。

だからと言って「これから平成バブルの高値である3万8915円を一気に抜く!」となどと考えるのは早計だ。今の市場には「金棒を持った鬼」がいるからだ。では、鬼とは誰のことか。日本銀行である。

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