このような状況の下、5~6月に各大学のキャリアセンターにアンケートを実施し、551校から回答を得た。まずその中で、学生に人気の業種を5つ聞いた。1位は公務員で52.5%、2位はサービスで37.3%、3位は教員で36.2%、以下食品、情報、銀行、商社の順となっている。不安な状況だからこそ、安定した公務員の人気は高い。
そして具体的に「学生に勧めたい大手企業はどこか」も調査している。それをまとめたのが「大学のキャリアセンターが学生に勧めたい大手企業ランキング」だ。6社連記で記入してもらい、1番目に書いてある企業を6ポイント、2番目を5ポイント、以下4、3、2、1ポイントとして集計した。
トップはJR東日本
結果を見ていこう。トップは昨年2位から順位を上げたJR東日本となった。2位はトヨタ自動車、3位は全日本空輸(ANA)、4位はJR東海、5位は日本航空(JAL)と続く。大企業ばかりで、インフラ系企業が多いのが特徴だ。
このアンケートは、ちょうど緊急事態宣言が発出されていた頃に実施しており、コロナ禍の影響を加味して回答しているものと思われる。ただ、航空各社が正式に採用を中止したのはその後で、今はさらに考え方が変わっているものと考えられる。すでにJR各社は売り上げを落としており、全日本空輸は2022年卒業者の採用も縮小すると発表している。大学生のキャビンアテンダント志望は多いが、採用はストップすることになる。
企業の採用支援を行っているワークスジャパンの清水信一郎社長は、次のように分析する。
「キャリアセンターとしては安定した企業を勧めていることがわかる。コロナ禍の影響もあるかもしれないが、インフラ系とメーカーが多いように思える。インフラ系では、JRが全社100位以内に入っている。大学の所在地によって勧める会社は異なると思うが、地場の有名企業として航空よりも安定している。都市開発なども行っていることから仕事内容も多彩で、学生の人気もあるのだろう」
このアンケートでは、「学生に勧めたい企業を選んだ理由」も聞いている。トップは「安定している」の32.6%で、2019年の調査でもトップだったが、値は26%だったのでそれを上回っている。コロナ禍による景気後退、採用の鈍化をにらんで、安定がキーワードになっているようだ。2番目以下は、「将来性がある」27.3%、「社員を大事にしている」26%、「業界上位である」21.5%の順となっている。
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