安倍前首相、「桜」疑惑はなぜいま再燃したのか

遠のく院政、突然の地検捜査に「官邸陰謀説」

安倍晋三前首相(右から4人目)の桜を見る会をめぐる疑惑が再燃している。写真は2019年4月に開催された桜を見る会(写真:時事)

11月下旬の3連休のさなか、安倍晋三前首相の「桜を見る会」疑惑について、降ってわいたかのように新たな報道が飛び出した。疑惑の核心とされてきた前夜祭での安倍氏側の経費補填について、「東京地検特捜部が捜査中」というのだ。

2019年11月に共産党が国会で問題を追及して表面化して以来、安倍氏は、①事務所が会費を参加者から集金してそのままホテル側に渡した②後援会への収支は一切なく、政治資金収支報告書への記載は必要ない③明細書の発行はなかった、などと答弁し、公職選挙法と政治資金規正法にはともに違反していないと主張し続けてきた。

当時官房長官だった菅義偉首相も、安倍氏と同様の答弁で野党側の追及をかわしてきた。

長きにわたる虚偽答弁か

これに対し、全国の弁護士らは安倍氏と後援会幹部3人について、2020年5月に東京地検に公選法と政治資金規正法違反であるとの告発状を提出。同地検はこれまで動きがなかったが、読売新聞が23日、安倍事務所の担当者らから同地検特捜部が任意の事情聴取を始め、「安倍事務所が5年間で800万円以上の経費補填」などと報じたことで政界が大揺れとなった。

報道が事実なら、安倍氏は在任中、国会で長期間にわたり虚偽答弁を繰り返してきたことになる。政治的・道義的責任は免れず、刑事事件として立件されれば安倍氏の政治生命にも大きな影響を及ぼす。疑惑を否定する答弁や記者会見を続けてきた菅首相の政治責任も厳しく問われかねない。

まさに、年明けの衆院解散も含めた年末以降の政局運営にも影響必至だが、検察しか知りえないさまざまな捜査情報が次々と報道されており、政界では「官邸陰謀説」もささやかれている。安倍氏はここにきて政治の表舞台に復帰し、安倍氏支持グループからは2021年9月の自民総裁選に出馬するという「再々登板説」も出始めた。「これに危機感を持った官邸が密かに動いた」(自民幹部)との見方からだ。

読売新聞によると、2015年から2019年までの間、首相夫妻が主催する「桜を見る会」前日の前夜祭で、参加者が払った1人5000円の会費合計と、ホテル側が実際に請求した宴会経費の差額計800万円超を、安倍事務所側が補填していたという。その際、ホテル側は安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」宛てに領収書も発行していたと指摘した。

これが事実なら、安倍氏の国会答弁はすべて虚偽となるのは明白だ。選挙支援を目当てに資金提供したと認定されれば公選法違反になり、事務所が補填したのに政治資金収支報告書に記載していなければ政治資金規正法違反(不記載)となる。

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