三宅占二・キリンホールディングス次期社長--世界の強豪と戦うにはまだまだちっぽけだ
ただ、オーガニックグロース(単独成長)だけで、売り上げを現在の1・3倍に伸ばすのはやはり難しい。何らかの成長戦略を打つ必要があり、その手段がM&Aやアライアンスかもしれない。タイミングを見つつ、どこかの段階で成長戦略を実行することになる。
--近年は積極的に海外企業を買収してきましたが、今後の展望は。
アジア・オセアニアを中心とした総合飲料メーカーを目指す中で、オセアニアについては、ライオンネイサン ナショナルフーズというすばらしいインフラができ、存在感もしっかりしてきた。
今後の課題は東南アジアをどう伸ばしていくか。タイとベトナムで飲料事業を始め、昨年は(フィリピンのビールメーカー)サンミゲルを子会社化した。豪州が近いので、ナショナルフーズの乳製品なども東南アジアに流通している。
これからはこの3つをうまく組み合わせたシナジーを考えていく。そのうえで、東南アジア各国の発展状況やどんなパートナーがいるかも調査したい。
飲料や食品は各地域のお客さんの暮らしや文化、伝統風土と極めて密接だ。組む相手も、その地域できちんとしたプレゼンスやブランドを持っていることが重要になる。
さらに、M&Aを実行するときはマジョリティを取得するのが基本の考えだが、乗り込んで経営するつもりはない。相手先の経営力がしっかりしていることも大事だ。
--一方、アジア最大市場の中国では力を出し切れていませんね。
参入時とは、市場や競争環境が変わり、それに対応し切れていないのは事実。ビールは大連など3カ所で展開しているが、当初はそこでハイエンドの商品を作って比較的いいスタートが切れた。
だが、近年伸びているのは低価格帯で、そこへ参入できる事業構造を現在持っていない。飲料も「午後の紅茶」がブームになり、上海に二つ目の工場を造るほど順調な立ち上がりだったが、最近では低価格の類似商品が出てきている。