――いろいろな意味で、衝撃を受けたのですね。
自分は後輩だったので、(神田さんに)話して「洋服を作りたいんですけど」って言ったのです。最初が、もともと外れているタイプ、要はファッションの王道じゃないところをやろうとしている人だったので、その人から、僕が思っていた洋服とは違う考え方というのをたくさんもらいました。
まず、「洋服を作るときは、今、自分がいちばん好きな女の子の写真を、ちゃんとミシンの前に張って」(笑)。
――好きな女の子の写真、ですか?
服はそういうものだからって。あと、好きなアイドルとか。この人が、いつか着る可能性があるものだから、と。
――なるほど。
ファンタジーを作って、そこに落とし込むんだよって言われて。洋服をつくるときは、まずは憧れを抱くこと、というところから始めたのです。
――そうだったのですね。ところで、話を戻して、その当時は、まだ洋服で食べて行くつもりは……?
ないですね。
他者が着ることで進歩した洋服作り
――そうなのですか。では、本当に面白いな、すごいな、自分もやってみたいな、という好奇心というか、とてもピュアなところから始まって、そこからだんだん専門的にやってみようか、というところに至ったのですか?
そうです。最初は、本当に自分の周りの人が、友達ですけど、自分の作った洋服を着てくれるのが楽しくて。そうすると、「この服、森永が作ったやつだよ」と、だんだん広まっていって。
でも、「あ、技術がない」ということに気づくのです。こういうコートを作りたいけど、自分は作れない。ああいうワンピースがいいけど、この技術がない。それってどうやって作るんだろう。ノースリーブばっかりだったのに、袖を作りたくなった、とか。
――自分の中で、いろいろと欲求が生まれてきたんですね。
はい。そうすると、専門学校に通わなきゃと思って、ダブルスクールで通って、そこからどんどん洋服のほうに……。
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