3Dテレビ戦争が幕開け、ソニー差別化戦略の成算、価格競争は必至だが...
ソニーが3月9日に、3Dテレビを発表した。スポンサーを務めるサッカーのワールドカップ開催に合わせ、6月をメドに日米欧など世界で発売する。2010年度の販売計画台数2500万台(前期比1・7倍)のうち、1割程度を3Dで見込んでいる。
すでにライバルの韓国サムスン電子は2月に発売。3月にはパナソニックや韓国LGエレクトロニクスが続く。市場拡大に期待が集まるが、本格普及に向けてはコンテンツの少なさがネックとなっている。
現状、3D番組を計画する放送局は衛星などの有料局が大半。当面は3D対応のブルーレイ再生機も合わせて購入し、『アバター』のような3D映画を観賞するといった楽しみ方に限定されそうだ。
だが、ソニーにはゲームという切り札がある。今年は3D化されたゲームソフトが世界で約20作品発売される見通しだが、主な家庭用据え置き型ゲーム機で対応できるのは「プレイステーション3(PS3)」のみ。ユーザーはネットワーク経由で組み込みソフトを更新すれば、3Dゲームを楽しむことができる。
一方、任天堂「Wii」や米マイクロソフト「Xbox360」は、現行機種では機器性能面で制約を受けるとされ、3Dゲームへの対応策は明らかにしていない。
PS3の世界累計販売台数は約3350万台。この膨大なユーザーをいかに自社の3Dテレビへ取り込むか。ソニーはゲームソフトとのセット販売や、機器同士の接続性のよさを訴求するなど顧客囲い込み策を講じる見通しだ。
またPS3も、従来は台数やソフト数で競合2社の後塵を拝してきたが、3Dで形勢逆転を狙う余地がある。
価格競争は必至
3Dテレビは差別化が難しい商品でもある。1月に米国で開かれた家電見本市でソニー幹部をうならせたのは、米国のベンチャーメーカー・ビジオと中国のTCLが出展した3Dテレビだった。