保育園が突如閉園、広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知、市の通知にも応じず
保育士ら3人の正社員らは運営会社に閉園の撤回を求め、11月以降も運営を続けようとしていた。
ところが、11月に入って運営会社は施設の鍵を変えたため、職員や園児の荷物が施設内に残されたまま、中に入れない状態になった。職員の保育士は「子どものことも、園を頼りにしている保護者のことも考えずに、閉園を強行するのは信じられない。運営会社は経営状況の悪化を理由にあげているが、いま閉園しようとしているのは別の理由があると思う」と話す。
ベビーベッドも補修してもらえず
運営会社が正社員らに命じた異動先は、自宅から電車で片道2時間ほどかかる都内の保育園だ。職員らが個人加入している介護・保育ユニオンは、「職員はばらばらの遠い園に異動になる。閉園は団体交渉で声を上げた職員への報復の意味が大きい」と指摘する。
同園は新型コロナウイルスの影響で4~5月に休園になった。休園中も、自治体から認可保育園に支払われる委託費は変わらない。そのため、国は労働基準法に基づく平均賃金の6割の休業手当の支払いにとどまらず、通常と同水準の賃金を職員に支払うように都道府県に通知を出した。しかし、同園は職員に給料は6割しか支払っていなかった。
このため保育士らは2020年8月に同ユニオンに加入し、保育環境の改善と休園中の休業手当の支払いなどを求めて運営会社と団体交渉を行っていた。運営会社は2020年に入り、前年分の給料に過払いがあったとして、保育士らの給料から差し引くようなこともしていた。差し引かれた結果、ある正社員は月給1万7000円の月もあったという。
また、ベビーベッドが壊れても修理してもらえず、給食を作る調理員が2019年に辞めて後、補充されないなどの問題もあった。
「保育士は配置基準ぎりぎりで足りていない。1人でも欠ければ基準を満たさなくなる状態だ。畳がぼろぼろで、おもちゃを買ってあげたくてもお金がないと言われた。せめて子どもたちの設備だけでも、しっかり対応してほしい」(職員の保育士)
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