保育園が突如閉園、広がる保護者の困惑と不安 閉園の2週間前に通知、市の通知にも応じず

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保育士らから相談を受けた印西市は、2020年8月と10月、会社側に保育園の運営を改善するよう通知を出した。市は職員が配置基準に満たない日があるとして、保育士が休むときの対応方法を示すことや、園で調理を行う職員を配置するように指示した。

しかし、運営会社は市の通知に応えることもなく、職員は補充されることなく突如閉園となった。

ハードルが低い民間保育園の閉園

それにしても、認可保育園はここまで急な閉園は可能なのだろうか。公立の認可保育園は、児童福祉法で3カ月前までに都道府県知事への届出が必要と定められているが、今回閉園した小規模認可保育園は届出から閉園までの期間の定めはなく、市区町村長の承認があれば閉園できる。

介護・保育ユニオンの三浦かおり共同代表は「規制緩和が今回の問題の背景にある。国は待機児童の解消を掲げて規制緩和を進め、2000年以降は株式会社が参入し、利益追求ありきの経営者が増えてきた。(閉園のハードルが低いため)利益が上がらないとなった時点で、閉園してしまう事業者が出てくる。今後も起こりうる問題だ」と指摘する。

小規模保育園は、通常の保育園よりも参入のハードルが低い。小規模保育園は定員が19人以下で、0歳~2歳児までを預かる。2015年の子ども・子育て支援制度で新たに国の認可事業になった。施設基準によってA型、B型、C型の3種類があり、最も定員が少ないC型では保育士資格の保有者が不要だ。

保育者や研究者ら約300人の会員で作る保育研究所の逆井直紀氏は「新たに小規模保育園を作ったのは、職員の資格要件を緩和する目的があった。認可保育園に入れない子どもの受け皿にするためだ」と指摘する。

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