国の第3次補正予算、注目すべき「6つの焦点」 国債発行額は過去最高、困窮者に絞った支援を

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2020年度は、緊急事態宣言や自粛要請によって経済活動は大幅に制限され、税収も大幅に減少すると予想される。法人税等の納税猶予もあるため、兆単位の税収の下方修正は避けられない。

ちなみに、リーマンショックに直面した2008年度、一般会計税収は当初予算で53.6兆円と見込まれていたが、減額補正をして補正後予算段階で46.4兆円としたものの、決算時には44.3兆円となった。決算時に見込んでいた税収が入らなかった場合、「歳入欠陥」という事態に陥る。翌々年度でその不足を補填する。

歳入欠陥は財政当局にとっては避けたい事態である。歳入欠陥を避けるには、税収の減額補正を手堅く行うことである。しかし、税収の減額補正を手堅くすると、歳出予算を賄うための国債発行を増やさなければならなくなる。

公債依存度は過去最高に

最後の焦点は、歳出増と税収減でますます余儀なくされる国債の増発だ。

2020年度は、第2次補正予算までに計上された160.3兆円もの歳出総額を90.2兆円の国債発行でまかなった。公債依存度は56.3%と過去最高だ。

税収が当初予算よりも6兆円減ってその分国債を増発するだけで、公債依存度は60%に達する。税収が2008年度と同程度に減少し、歳出総額が5兆円増えるとなると、公債依存度は63%にもなる。

国債発行に依存した財政支出をする以上、内容を度外視した金額ありきの補正予算は望ましくない。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎつつ、財政支出がなければ生活が維持できない国民に対象を絞った支援を行うべきである。

土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授

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どい・たけろう / Takero Doi

1970年生。大阪大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京大学社会科学研究所助手、慶應義塾大学助教授等を経て、2009年4月から現職。行政改革推進会議議員、税制調査会委員、財政制度等審議会委員、国税審議会委員、東京都税制調査会委員等を務める。主著に『地方債改革の経済学』(日本経済新聞出版社。日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞受賞)、『入門財政学』(日本評論社)、『入門公共経済学(第2版)』(日本評論社)等。

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