東京駅「小売り激戦区」、JR東海勝ち残りの秘密 新幹線の真下という細長い用地で独自の存在感

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――東京ギフトパレットの柱や天井には廃車になった新幹線700系のアルミ素材が再利用されています。これもエコですね。

東京ギフトパレットには新幹線700系のアルミ素材が再利用されている(記者撮影)

出発点は低コスト化だ。当社の社員にこの分野に詳しい者がいて、「新しいアルミでなく再生アルミで建材を作ればコスト削減になる」と言う。確かに新幹線で使命を終えた車両が商業施設の建材としてよみがえるというのは環境保全の観点からも面白い取り組みだということで、やってみた。大変好評をいただいており、やってよかったと思う。

――買い物や食事だけでなく「環境意識について学ぶ」という新たな要素が加わりましたね。

「学ぶ」という形で東京駅を訪れていただければ、ワクワク感が増すと思う。「この施設は新幹線の再生アルミを使っている」ということを発信する映像や画像を作成しており、12月頃に当社のホームページで公開する。ぜひご覧いただき、現地にいらしてほしい。

日比谷の高架下にもオープン

――東京駅だけでなく、有楽町―新橋間の高架下にも7月に飲食店街の「日比谷グルメゾン」を開業しました。このエリアの線路は銀座側に東海道新幹線、皇居側に山手線などの在来線が走っていますが、新幹線側の高架下は飲食店街「コリドー街」に遮られ、道路に面していません。なぜ、皇居側で開業をしたのですか。

有楽町―新橋間の高架下に開業した飲食店街「日比谷グルメゾン」(記者撮影)

有楽町―新橋間のJR東海のエリアはもともと車内倉庫として使っていた。ただ、隣に銀座と日比谷があるという好立地の割には有効活用できていない。この思いはJR東日本さんも同じで、だったら共同で開発しようということになった。そのため、皇居側に用地を持つJR東日本と用地を交換する形で、皇居側に出店しました。

――土地を交換したのですか。

いえ、土地交換ではなく相互貸し付け。場所割りはJR東海とJR東日本さんの話し合いで決まった。

――新橋や品川では再開発をしないのですか。

新橋のゆりかもめ側は東海道新幹線の高架下であり、7店舗展開している。その先は商業に適している場所があるのかどうか、見極めが必要だ。品川はリニアの駅自体がどのようになるかわからないが、鉄道以外の商業需要は当然発生するので勉強は怠らない。

商業施設はつねにリニューアルして活性化していくものだ。隣接の商業区画が次々とリニューアルしているのに当社が変わらなければ相対的に陳腐化してしまう。その意味では、東京駅一番街をしっかりとブラッシュアップしていく。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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