菅首相、防戦一方で「年明け解散論」が急浮上

新大統領誕生後の訪米など実現に高いハードル

11月6日、日本学術会議問題に関する答弁で、説明を受ける菅義偉首相(写真:時事)

菅義偉政権が発足してから間もなく2カ月が経過する。臨時国会で日本学術会議の任命拒否問題を軸とする与野党攻防が続く中、与党内では年明けの衆院解散断行論が急浮上している。

菅首相と野党幹部との初の直接対決の場となったのが、11月2日から6日まで開かれた衆参両院の予算委員会だ。「任命拒否は学問の自由の侵害で、違法だ」などと追及する立憲民主、共産両党に対し、菅首相は「答弁は差し控える」を連発。防戦一方となった。

年明け解散に備え、臨戦態勢に

このため、与党内でも「年明けの通常国会での長期間の予算委質疑を乗り切れるのか」(自民国対)との不安が拡大。局面を打開するため、自民、公明両党幹部らが相次いで「年明け解散」に言及する事態となった。与野党の議員も一斉に選挙区入りするなど、「臨戦態勢」(自民若手)に入りつつある。

菅首相は10日の閣議で2020年度第3次補正予算案の編成を指示した。与党内ではコロナ対策と経済回復を両立させるため、「30兆円以上の財政出動」の掛け声も出ている。しかも、菅首相が第3次補正と年内に編成する2021年度予算を一体化した「15カ月予算」とする方針を明確にしたのも、「年明け召集の通常国会冒頭での補正予算成立後の解散断行への道を開くため」(自民幹部)と受け取る向きが多い。

北海道では冬の到来に合わせるようにコロナの感染拡大が際立っており、「『感染拡大前線』は年末にかけて南下する」(感染症専門家)ことは避けられそうもない。与党内でも「そもそもコロナ感染が拡大している限り、年明け解散なんてありえない」(公明幹部)との声も相次ぐ。

アメリカ大統領選で民主党のバイデン前副大統領の勝利が濃厚となりつつあり、政府は1月20日の新大統領就任後の菅首相の早期訪米を目指している。これも踏まえ、外交専門家は「選挙中に初の日米首脳会談というわけにはいかない」(外務省OB)と指摘し、政治・外交日程からみても年明け解散は「ハードルだらけ」(政府筋)というのが実態だ。

「コロナと経済の両立が最優先」と繰り返す菅首相は「就任時からコロナ禍の中での早期解散には慎重だった」(周辺)とされる。携帯電話料金値下げやデジタル庁創設、不妊治療の保険適用という”3大スガ案件”を早期に実現させ、「内閣支持率を実績で底上げして、任期満了かそれに近い時点での解散断行が基本戦略」(自民幹部)だったとみられている。

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