プレステ5、ソニー事業部門トップが語る手応え 11月12日に発売、「PS4」超えは実現するか

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――ゲームを楽しむ手段は、パソコンやスマートフォンなど多様化しています。PSのようなコンソール機の役割は変わりますか。

コンソールの役割はこれからも重要であり続ける。少なくとも今後5年はそうだと思うし、それ以降もそうかもしれない。2013年にPS4が出たときも「これは失敗するよ。なぜならスマホやタブレットでゲームをする人がこれからどんどん増えるのだから」と言われたことを思い出してほしい(でもそうはならなかった)。PSでゲームをすれば、ゲーマーはプレミアムな経験を得られることがわかっているからだ。

そんなプレミアムな経験を、PS5でも達成しようと開発してきたし、実際にそうなったと思っている。

クリエイターはゲームを作りやすくなった

――それは例えば3Dオーディオやコントローラーのことを指すのですか。

それだけではなく、CPUやGPUも改善した。記憶媒体として超高速のSSDを使っているという点も挙げられる。このことによってゲーム中のロード時間がとても短くなった。これはゲームを作る人にとっても、遊ぶ人にとっても大きな転換になったと思う。「デス・ストランディング」というゲームをPS5でやってみたというジャーナリストは(読み込み時間の短さに)大変驚いていた。

PS5ではコントローラーも大きく進化した(編集部撮影)

――PS5では、PS4のソフトをほとんどそのまま遊ぶことができます。PS4ではPS3のソフトで遊ぶことはできませんでしたが、なぜ戦略を変えたのですか。

プラットフォームのアーキテクチャーの違いだ。PS3のときは、アーキテクチャーが特別仕様になっていた。これに対してPS4は標準的なパソコンのアーキテクチャーになっていることが大きい。だからPS3からPS4への互換性が難しかった。PS5も基本的にパソコンのアーキテクチャーを持っているから、PS4のゲームをPS5で遊べるようにするのは技術的に難しくなかった。PS4には4000本以上のゲームがあるが、このうちPS5で遊べないのは10本しかない(国内発売の作品で互換性のないタイトルは2本)。

また、PS4のネットワーク会員は1億ほど登録者がいるが、このことも以前とは違う点だ。ここで遊んでいる人たちはPS4へのエンゲージメントが非常に高く、なおかつ「ネットワークされている」。この人たちも喜んでPS4からPS5へ移行してもらえるだろう。

――ゲームソフトを作るクリエイターにとってはPS5に移行して、作品は作りやすくなったのでしょうか。

基本的には「イエス」だ。PS5が発売されるときに出るゲームの本数、その質の高さがその証拠だ。PS4のときと比べて、全体的にすべてが良くなっている。新型コロナが状況を複雑にしたことは間違いなくて、リリーススケジュールがいくつか遅れた作品もあるが、全体的に見れば少ないと言える。

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