築地本願寺、元銀行マン僧侶が大活躍の理由 超常識のマーケティングと変革マネジメント

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誰もが気軽に足を運べるように境内を改装し、カフェとインフォメーションセンターをつくる。

「死とは何か?」という人間の根源に関わる問いにも、日々の人間関係の悩みや不安にも、任意後見人の選任や、死後事務委任、遺言手続きなど終活に関わる実務的な疑問にも答えられるようなコンシェルジュ・サービスを提供する。

宗派を問わず、誰もが入れる合同墓のニーズは高いのではないか。葬儀だけでなく、お見合いや結婚式、人生相談やカウンセリングなどを寺でやってはどうか。寺といえば寺子屋であり、21世紀にふさわしい新たな学びの場を提供できないか。

お寺の「顧客創造」と「イノベーション」

これらは、経営学者であるピーター・ドラッカーが言うところの「顧客創造」と「イノベーション」です。そして一時的に人を集めても意味はなく、顧客との関係が一生涯にわたって継続する仕組みをつくらなければなりません。

また、新たな構想を実現するには、電話やネットで対応できるコンタクトセンター、CRM(顧客情報管理)システムの構築、職員のMBO(目標管理制度)の導入など、ビジネスの観点からいえば当たり前のことを取り入れ、組織が内側から変わることが不可欠です。しかし、寺は伝統という強固な岩盤の上に根づいた古い組織です。

「寺は会社じゃない。なぜ、そんなことをする必要があるのか?」

「ビジネスの世界と宗教の世界は違う」

「そもそもCRMってなんですか?」

「顧客とは、参拝者をお客扱いにするのですか?」

次ページまだ道半ば、試行錯誤と失敗の日々
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