築地本願寺、元銀行マン僧侶が大活躍の理由 超常識のマーケティングと変革マネジメント

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歴史ある名刹とて、この流れから逃れることはできない……全国1万200寺院を束ねる浄土真宗本願寺派の宗派組織トップである橘(たちばな)正信(しょうしん)総長(2012年当時)も、おそらくそう感じていたのだと思います。だからこそ、まったくの異分子である私を浄土真宗本願寺派の常務委員にし、さらには築地本願寺の「社外取締役」たる評議員に迎えたのでしょう。

衰退産業で参拝者は減少、経常収支は赤字続き

銀行勤務を経て、コンサルティング会社を経営していた私は、50歳で僧籍を取得したとはいえ、僧侶たちから見ると「ビジネスの世界から突然やってきた理解不能な人物」だったでしょう。私にとっても宗教法人は「言葉の通じない異世界」であり、完全なアウェーでした。

しかし「社外取締役」を引き受けたからには、自分の任務を果たすまでのことです。これまで経験してきたビジネスの視点で寺院を見れば、早急に改革すべき点は次々と見つかりました。見つかったら忌憚なく意見を述べるまでです。

「どう考えても寺は衰退産業です。その証拠に築地本願寺の参拝者数は減り続け、経常収支の赤字が出ている。すぐに対策を講じる必要があります」

ところが古参の僧侶たちは泰然とほほ笑むのです。

「築地本願寺創建以来、400年もなんとかなってきたのですから大丈夫ですよ。赤字何億って安永さん、そもそもお寺は会社じゃありません」

「お寺も宗教法人で株式会社と同じ『コーポレーション』です。利益を株主に配当する代わりに社会に対して何らかの価値を還元するという意味で同じものです。『コーポレーション』である以上、どんな老舗だろうと倒産しないなんて話はありえませんよ。現状を分析して、マーケティングもしなければ、知名度が高く伝統のある築地本願寺であっても潰れます」

私があまりにも強硬に主張したためでしょう。

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