築地本願寺、元銀行マン僧侶が大活躍の理由 超常識のマーケティングと変革マネジメント

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これが寺の“常識”なのですから、学生時代から「なんでも見てやろう」という気持ちが強く、迷ったらまず「イエス」と言う私であってもまだ道半ば、試行錯誤と失敗の日々です。

インスタ映えで大行列の「18品の朝ごはん」

それでも境内を大改装し、カフェTsumugiの「18品の朝ごはん」が「インスタ映え」で大人気になるなどの話題性もあって、参拝者は1日平均4000人から多い日で1万人を超えるなど急増しています。

新たに発足した会員制度組織「築地本願寺倶楽部」は現在会員数が2万1000人、2023年から2024年にかけての親鸞聖人ご誕生850年・浄土真宗立教開宗800年までには10万人を目指しています。

会員が生前に申し込み可能、永代使用冥加金が30万円からの「築地本願寺合同墓」は現在ご契約数が約1万1000人ですが、予約が殺到しています。

築地本願寺の大改革としてCRMのシステム整備も行いました。そうは言っても一般企業では当たり前にやっている普通のものですが、門信徒とのご縁を強化することにつながるはずです。ペーパーレス化やフリーアドレス制、ノートパソコン1人1台の新たな寺内システムも動き出しています。

VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の時代、生き残りはお寺や僧侶だけでなく多くの企業とビジネスパーソンに共通する課題です。

築地本願寺という「古い枠組みにとらわれていた老舗寺院」が、どのようにリブランディングし、伝統を生かしながら変わろうとしているのか。生き残りをかけて日々奮闘されているビジネスパーソンの皆さんにヒントにしていただけば幸いです。

 
安永 雄彦 西本願寺元執行長、築地本願寺元宗務長、グロービス経営大学院大学特別教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やすなが ゆうひこ / Yuhiko Yasunaga

1954年生まれ。開成高校、慶應義塾大学経済学部卒業、ケンブリッジ大学大学院博士研究課程修了(経営学専攻)。法名は釋雄玄(しゃくゆうげん)。

三和銀行(現三菱UFJ銀行)、米系大手人材コンサルティング会社ラッセル・レイノルズ社、経営管理人材の人材リサーチコンサルティング会社島本パートナーズ社長、会長を経て、2015年より浄土真宗本願寺派築地本願寺代表役員宗務長に。

僧侶組織のトップとして法務に従事するとともに、寺院の運営管理や首都圏での個人を対象にした新しいかたちの伝道活動に従事し伝統寺院の改革を主導。2022年から2024年まで京都の浄土真宗本願寺派本山である西本願寺代表役員執行長を務める。

経済同友会会員、日本ファイナンス学会、経営行動科学学会、キャリアデザイン学会、マインドフルネス学会所属。株式会社オフィス安永代表取締役、武蔵野大学評議員。

著書に、『日本型プロフェッショナルの条件』(ダイヤモンド社)、『築地本願寺の経営学』(東洋経済新報社)、『何度でもリセット』(ディスカヴァー)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事