築地本願寺、元銀行マン僧侶が大活躍の理由 超常識のマーケティングと変革マネジメント
「そこまで言うなら案を出してください」となり、築地本願寺にプロジェクトチームが結成されました。議論を重ねて作成されたのが、「首都圏伝道推進基本計画」、つまり築地本願寺の経営大改革案です。10年間で40億円を投じて築地本願寺を大改革し、リブランディングしようというものでした。
よそ者、異分子だからこその新たな挑戦
「では、誰がやるのか?」
そこで決断したのが今の石上(いわがみ)智康(ちこう)総長でした。
「私たちではどうしても伝統や基本に縛られる。外の世界を知っているあなたがつくったプロジェクトです。あなたがやってくれませんか」
こうして2015年7月、築地本願寺評議会の選挙を経て、私は築地本願寺の代表役員・宗務長の任に就きました。コンサルティング会社の経営者から、築地本願寺という「老舗宗教法人の代表役員」、宗派を親会社とする直轄寺院たる「最大子会社の社長」に身を転じたのです。
寺院の伝統と僧侶という役割にとらわれた人たちにできないことを、ビジネスマン出身僧侶というよそ者がやるという、前代未聞の試みです。私にとっても予想だにしなかった新たな挑戦が始まりました。
徹底した顧客主義に立ち、「開かれた寺にしよう」と考えたとき、アイデアは次々と浮かんできました。プロジェクトチームで策定したものをさらにバージョンアップした「エンディングステージのワンストップ拠点化、そしてヴァーチャル・テンプル構想」です。
例えば、人の誕生、成長、結婚など、人生に寄り添える寺となる提案をしていく。あるいは暮らしの中で人々が気軽に足を運べる存在になる。
心の悩みや不安を抱えた人たちの心の拠りどころという、寺本来の役割を見つめ直す。
マーケティングをしてみると、構想を実現する方策もたくさんあります。
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