「ヒラ社員も残業代ゼロ」構想の全内幕 官製ベア・残業代ゼロ・解雇解禁の「点と線」

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労働時間規制の緩和は経済界からの要望だ
竹中平蔵 産業競争力会議議員(慶大教授、パソナグループ取締役会長)
 産業競争力会議雇用・人材分科会が労働時間と報酬のリンクを外す「新たな労働時間制度」の創設を提言した翌日。担当の1人である竹中平蔵氏が本誌のインタビューに応じた。
──「新たな労働時間制度」ですが、Aタイプの対象者は無限定に広がりませんか。
 決して対象者が広がるとは思っていない。制度設計にはまだ全然至っていないが、ようやく話が進もうとしているので、制度設計は慎重に、非常に限られた範囲で行うこともありうる。
 ただ本当に柔軟な働き方をしたいと思っている人はたくさんいる。「残業代ゼロ」になるとあおる議論もあるが、今でもアーティストは残業代ゼロなんですよ。現実にはそういう働き方のほうが高い付加価値を生み出す時代になっている。
──提言を主導したのは竹中さん?
 違います。せっかくの機会なのでぜひ申し上げたいが、この新制度について主導権を取っているのは経済界ですよ。実態に即した議論をしようとしている点で、理があるし正しいと思うのでサポートはしたい。
──ホワイトカラー・エグゼンプションのときのような過労死を助長するといった批判はどう受け止めますか。
 それは労働基準監督署の機能強化が必要な問題で別の話。それこそ厚生労働省が頑張れと言いたい。異なる話を結び付けるのは改革を阻むための意図的な議論だ。あおる議論は必ず出ます。そこは政治の説明責任の問題。規制改革担当相や厚労相がしっかり責任を果たしてほしい。
──雇用・人材分科会担当の竹中さんが人材サービス企業の会長であることに批判もあります。
 経済政策の専門家として入っているので問題ない。派遣など利益相反になることには発言しない。ただそうなると雇用のテーマに会社の経営者が発言できないことになる。それはおかしい。言論封圧ではないか。

 

デザイン:川邊玲奈 進行管理:平野 藍

週刊東洋経済2014年5月24日号〈2014年5月19日発売 〉特集「雇用がゆがむ」)

風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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