一流企業から脱サラ→失敗した50代男性の末路 用意周到で緻密だった彼に足りなかったもの
用意周到なBさんは顧客開拓のために、独立直後からいくつかの顧問紹介サイトに登録し、複数の経営者の会にも参加していました。早速翌日から、業務内容をびっしり印刷した折り畳める名刺とともに、経営者の会にこれまで以上に足しげく通いました。また、あらゆる人脈を通じて企業を紹介してもらい、売り込み営業もかけ続けました。
さらに半年が経ちました。しかし、さまざまな場でどれだけ熱弁しても話を聞いてくれる経営者は現れず、顧問先は開拓できません。それどころかある経営者の会の事務局からは「あからさまな営業行為は慎んでください」と注意される始末。
もう1社からも連絡が…
弱り果てていたころ、もう1社の顧問先企業から連絡が入りました。その企業ではお世話になった先輩が取締役になっており、その縁から顧問をしていたのですが、なんとその先輩が退任するとのこと。飛んでいくと、先輩からこう切り出されたのです。
「B君、僕ももう年なので退任することになったんだ。ついては、君との顧問契約も僕がいなくなったら来月で満了だ。おそらく契約更新はないと思う。すまんね。でも独立して1年以上経つんだから、用意周到な君らしくほかの顧客も開拓できているんだろ?」
言葉がありませんでした。頭が真っ白になってしまい、お世話になった先輩への慰労や感謝の言葉を発することもできず、失意の中で帰路につくことしかできなかったのです。
「もうダメだ。どうしよう。俺は再就職するしかないのだろうか」
さて、なぜ幸先のいい独立スタートを切ったはずのBさんは挫折してしまったのでしょうか。これは顧客の顧問先企業社長や、経営者の会で売り込みをかけられる相手の経営者の心情を想像すれば容易にわかります。
「とにかく自分の損得計算ばかりしてリスクを押し付け、肝心の自社の経営課題解決に貢献してもらえない」「しがらみのない経営者同士でざっくばらんに交流したいのに、売り込みばかりされると気持ちがなえる」
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