自分は不幸だと思う人は脳の使い方を知らない 従来の脳科学では引き出せなかった脳の鍛え方

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つまりこの島皮質の機能を高めれば、他の人と心の繫がりを持ちやすくなり、たとえどんな過去を持っていようと、過去の自分を受け入れやすくなります。

それだけでなく、島皮質は脳のいろいろな箇所を繫いでいるため、脳全体が活性化され、脳が本来持っている力が引き出されるのです。

イギリス・スターリング大学のルイス博士らの研究では「ウェルビーイングと島皮質の厚みは正の関係にある」という結果を出しています。ウェルビーイングとは幸福の概念を指します。

つまり、幸せな人というのは島皮質が厚いのです。

これは逆に考えると、島皮質が厚くなるような脳の使い方をすれば私たちは幸せになれるということです。

誰でもできる! 島皮質を鍛える6つの方法

エビデンスにもとづいた島皮質を鍛える脳の使い方を私は「脳磨き」と呼んでいます。
そのポイントは6つあります。

① 感謝の気持ちを持つ

誰かに何かをしてもらったときの感謝だけでなく、常に感謝の気持ちを抱くことが脳の活性化には有効です。

韓国・ヨンセ大学のキョン博士らの研究では、被験者に「感謝のワーク」を行ってもらい、そのときの脳の状態を調べました。

その結果、感謝しているときには脳内で複数の領域がプラスに繫がり、脳の活動が活発化しました。

② 前向きになる

気持ちが前向きだと、脳は活性化され、脳全体が働きやすくなります。

スペイン・マドリード大学のマーチン・ローチ博士らの研究では、「ポジティブな言葉」と「ネガティブな言葉」を投げかけられたときの人の脳波を測定しました。

その結果、ポジティブな言葉を投げかけられた場合には、脳全体が活性化したのに対して、ネガティブな言葉の場合、脳のアクセルはあまり活性化が起こりませんでした。

③ 気の合う仲間や家族と過ごす

孤独は人の脳にとって「毒」になります。アメリカ・シカゴ大学のカチオポーロ博士らの研究によると、孤独の状態が続くと、新しく脳細胞を生み出す脳内ホルモンの生産が減り、また、他の脳内ホルモンや神経伝達物質も減少することがわかりました。

このように人が豊かに生きていくためには、豊かな人間関係が欠かせないと脳科学的にもわかっているのです。

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