熱気帯びる男性化粧品、成熟市場にニューホープが登場
「市場規模はまだ小さいが、この提携で新たな需要を喚起したい」。
2月17日、スポーツ用品「アディダス」ブランドの男性化粧品「アディダス スキンプロテクション」の発表会で、コーセーの小林一俊社長は期待を込めてこう語った。
同社はこれを機に男性化粧品に本格参入。制汗剤から洗顔料まで取りそろえ、ドラッグストアのほか、男性客の多いコンビニでも販売する。サッカーの中村俊輔選手を起用してテレビCMなども大々的に展開。3年間で売り上げ60億円と掲げる目標は高い。
消費が冷え込む中、男性化粧品市場は熱気を帯びている。近年、仏ロレアル傘下の「ランコム」など化粧品企業が相次ぎ商品を発売。2月には中堅通販化粧品ハーバー研究所が「男の美学」を投入するなど参入が増える一方で、ロート製薬も若年向けの「オキシー」で新たにニキビケア製品を発売。既存ブランド強化の動きも活発だ。
背景にあるのは国内化粧品市場の停滞。
過去10年間は2兆円強を維持してきたが、今後は少子高齢化などによって縮小が見込まれる。こうした中、各社とも新たな需要の掘り起こしに必死。資生堂やカネボウ化粧品では2008年末以降、相次ぎ50~60代向けブランドを投入。ターゲットや機能をより細かく絞る傾向が強まっている。
男性もそんな潜在市場の一つだ。現在、規模は300億円程度にすぎないが、消臭や清潔感などへの意識が高まる中で着実に成長。中でも、スキンケア市場は前年比5~15%増ペースで伸びており、08年度は200億円を超えた。しかも「男性は一度使い始めると、美容情報に接する機会が少ないこともあり、女性よりリピート率も高い」(大塚製薬)とあって、各社が小さなパイに群がっている。