車いす利用者と新幹線に乗ってわかったこと

現場スタッフは丁寧だが、改善すべき課題も

筆者は、東海道新幹線の品川→新横浜駅間と新横浜→品川駅間について、行きを「多目的室」、帰りを「障害者対応座席」で発券するように依頼した。係員氏の物腰は丁寧だが、慣れていない様子で、マニュアルを見ながら作業している。そして「東海道新幹線だとJR東海なので、発券には相当の時間がかかります」と言われた。

「何時ごろになりますか」と筆者が尋ねると「わかりません。切符ができたらお電話するということでよろしいでしょうか」とのこと。障害者対応の機会は少ないのだろうが、「いつになるかわからない」というのは、いかがなものかと思う。

障害者手帳を出しても、対応席が案内されていない

筆者の予定は空いているが、篠原さんは11時30分のあずさに乗車せねばならない。篠原さんは「改札横のインフォメーションに行き、列車に乗るためのスロープを出してもらうよう話をしたい」と言う。みどりの窓口から改札までは20mもないが、車いす利用者と同行すると、風景が違う。電動車いすは子どもの背丈ほどである。通行人からの発見はかなり遅くなり、ぎりぎりまで気づかない歩行者も多い。とくに歩きスマホをしている人はまず気づかないので、付き添うと恐怖を感じる。

インフォメーションで、篠原さんが「乗車前にお手洗いに行きたい」と言う(障害のある人は簡単にトイレに行けない)ので、私が「列車内にも車いす対応トイレはありますよ」と答えると、篠原さんは「そんな設備があるのですか」と驚いた。インフォメーションで「あずさの車いす対応トイレは何号車ですか」と聞くと、係員は時刻表を片手に調べ始めた。その間、約5分。

その間、篠原さんと話してみたら多目的室や車いす対応座席の存在も知らないとのことである。そこで篠原さんが、あずさの指定席特急券を出し「この切符で大丈夫ですか」と私に聞く。

スマホであずさの座席表を見ると、2+2列の座席が並ぶ普通の席だ。これでは電動車いすを置いたら通路がふさがってしまう。篠原さんが切符を購入する際に障害者手帳を出したのに、障害者対応座席や多目的室の案内をしなかった駅の窓口(新宿駅ではない)の対応には、疑問が残る。

インフォメーションで「車いす対応座席や多目的室が空いているかわかりますか」と聞くと「こちらではわかりませんので、お手数ですが改札外のみどりの窓口で聞いていただけますか」と、出場証を出してもらった。これは臨機応変な対応である。

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