車いす利用者と新幹線に乗ってわかったこと 現場スタッフは丁寧だが、改善すべき課題も

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新幹線N700Sの車いすスペース(編集部撮影)

筆者は乗り物ライターだが、ホームヘルパー2級と視覚障害者ガイドヘルパーの資格を持ち、訪問介護の現場に長年従事した経験がある。ガイドヘルパーとして、バスへの乗降を介助したこともあり、公共交通のバリアフリー事情には関心があった。

今回、NPO法人「車椅子社会を考える会」の理事長を務める篠原博美さんの協力を得て、車いす利用者に同行して鉄道を利用した。障害者手帳による割引制度や、「多目的室」「障害者向け座席」を実際に使用することで、車いす利用者の鉄道利用の実態を紹介したい。

急行列車しか割り引かれない障害者割引制度

篠原さんと打ち合わせした結果、新幹線に乗車して障害者対応施設や駅などのバリアフリーを確かめることにした。その後、篠原さんから「仕事で特急あずさに乗車することになったので、駅まで同行しませんか」と連絡があり、篠原氏と一緒に「みどりの窓口」に行き、新幹線の切符を買うことにした。特急あずさの切符は篠原さんが事前に購入済みという。

電動車いすの篠原さんとは新宿駅で待ち合わせた。あずさが新宿駅を出発するのは11時30分。余裕を見て1時間前にみどりの窓口に向かった。

窓口で障害者手帳を提示すると、障害者への割引制度が適用される。家族や介助者が手帳を出しても、障害者が旅行に同行する場合は、割引切符を発券してもらえる。割引制度だが、障害の程度により第1級、第2級に分かれており、介助者が必要となる第1級の場合は、介助者にも割引が適用される。割引対象は「乗車券」「普通急行券」が半額になるというものだが、JRでは割引されない特急(=特別急行)は多数走っているが、定期列車の「普通急行」は1本も走っていない。急行を割引制度の対象としている意味がない。特急料金や新幹線特急料金も割り引いてもいいのではないだろうか。

次ページ物腰は丁寧だが…
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