車いす利用者と新幹線に乗ってわかったこと 現場スタッフは丁寧だが、改善すべき課題も
みどりの窓口に戻って乗車変更を交渉すると、係員氏は「車いす対応座席は埋まっています。多目的室は当日だと対応できません」とのこと。あずさの通路は電動車いすが置ける幅ではなく、困ったなと思いつつ、スロープを持ったスタッフとホームへ。車いす座席のことを話すと「少々お待ちを」と言い、車掌さんに話をしてくれる。車掌さんは「空いていますので、車いす対応座席に変更します」と言ってくれて、一安心。窓口で車いす対応座席が埋まっているという案内をされた理由はわからなかった。
いよいよ、東海道新幹線乗車日。篠原さんとは高輪ゲートウェイ駅で合流した。山手線で品川駅に移動しようとホームに降り、駅員さんに声かけをしようと思ったが誰もいない。篠原さんに待機してもらって、改札に行くが誰もいない。ややあって駅員さんが出てきたので「スロープをお願いします」と言ったら、すぐ動いてくれた。
到着した列車の乗降口にスロープをかけてくれ筆者たちを乗せた列車が出発した。2分ほどで品川駅に着いたが、ホームでは誰も待機していない(帰路ではクルーが待機していたので、こちらがイレギュラーだと思われる)。このままでは列車が発車してしまうので、慎重にスロープなしでホームに降りる。駅員さんは、安全を期すなら品川駅に連絡が取れるまで、高輪ゲートウェイ駅で筆者たちを待機させたほうがよかったかもしれない。
品川駅は乗降客が多く、緊張する。「スーツケースを引いて歩く人は、とくに怖いです」と篠原さんが言う。
いよいよ新幹線「多目的室」へ
JR東海の品川駅へ移動し、有人改札へ。「何分前に準備すればよろしいですか」と聞いてくれるのは好印象だ。東海道新幹線の障害者対応設備は11号車に集中しているので、ホーム上に11号車という表示がある場所で待機する。お願いした15分前に係員が現れ「少しご移動ください」と11号車のもう1つの扉位置に移動するよう指示された。ホーム上が空いていたので問題はないが、11号車の乗車位置には車いすマークを付けたほうがいい。
11号車の乗降口はほかの車両より広く、乗降は楽である。女性のアテンダントも待機しており、目の前の個室にスムーズに移動できた。N700A新幹線の多目的室は1.5m×2.1mほどの広さで、車いすの待機スペースと2人掛けの固定式クロスシート、介助者用と思われる折りたたみいすがある。折りたたみいすは一般的な製品だが、モケットがN700系普通車と同じなのが面白い。
篠原さんが「この広さなら、私より障害が重くても対応できそうですね」と話す。筆者も座席鉄として座らせていただいた。背もたれに角度はないが(リクライニング機能は備わる)、小さな枕とひじ掛けがあり、クッションが利いているのでなかなかの座り心地である。
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