馬脚を現し始めた福田首相の政治リーダーとしての「資質不足」
内閣支持率が下がり続けている。「福田首相で次の選挙は勝てるのか」という不安が自民党内に広がりつつある。いま党内には倒閣運動を起こすエネルギーはないが、発足から半年も経たないのに、早くも政権末期の空気が漂い始めた。
理由ははっきりしている。
小泉元首相や安倍前首相の場合は、掲げる路線に異論や疑義を持つ人はいたが、とにかく目標を高らかに打ち出して闘う姿勢を示した。ところが、福田首相は目標も路線も明確にしない。改革を続けるのかやめるのか、消費税増税や成長戦略、官僚改革はどうか等々、さっぱり方向が見えない。闘う姿勢も見せない。民主党抱きつき作戦を繰り返すだけで、福田政治の全体像を明示して野党との違いをアピールするという気概も決意も見えない。
なぜか--。衆参ねじれで野党との協調路線でいくしかないという事情もある。政権基盤確立が先決で、そのために野党との政策協議や大連立を仕掛ける必要があり、いまは我慢の時と考えているのかもしれない。
だが、首相自身に政治のリーダーに必要な条件と資質が欠如している面があるのではないか。手堅さとバランス感覚という持ち味は誰もが認めるが、それだけでは政権担当は荷が重い。国民の生活実感やニーズ、危機意識などを正確に汲み上げ、取り組むべき課題を設定して実現のシナリオと青写真を明示する。それは政治リーダーが果たすべきいくつかのステップの第一段階にすぎないが、それすらできずにいる。民意の把握やけんかの仕方も含めて、政治生活17年余で負けいくさ知らずという首相就任以前の政治経験の不足が、ここにきて響いているのだろう。
党内事情でこうした人物をトップに担がざるを得なかったところに自民党の真の危機がある。
|
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら