座席は「新幹線超え」、リニア改良試作車の実力 車両開発は進むが開業時期は見通せないまま
JR東海が開発するリニア中央新幹線「L0(エルゼロ)系」の改良型試験車が10月19日、山梨県内にある山梨リニア実験センターで公開された。
2013年に走行試験を開始したL0系は7両編成で「営業線仕様の第1世代」という位置づけ。リニアに関する国の技術評価委員会は、2017年に「営業に必要な技術開発は完了した」という結論を出している。その後は、「さらなる快適性の向上や保守の効率化等」を目指し、技術開発を進めるということになった。今回登場した改良型試験車は、従来のL0系の試験走行で判明した快適性や保守の効率化に関する課題を解決するために製造された車両である。
先頭車と中間車の2両が新たに製造され、L0系7両編成のうち2両がこの改良型試験車に置き換えられた。先頭車両は日立製作所が製造し、今年3月に山口県下松市にある日立の笠戸事業所で外観のみ公開されている。中間車はJR東海の子会社・日本車両製造が手掛けている。
先頭車と中間車で異なる内装
改良型試験車の内装デザインは先頭車と中間車で異なっている。どちらも白を基調とした明るい雰囲気だが、先頭車の天井は継ぎ目がなく柔らかみのある膜内装が用いられ、間接照明が暖かい感じを醸し出す。中間車は白色LEDを用いた直接照明で明るさがさらに際立つ。リニアはトンネルが多いため、車内を明るくするための工夫だ。一方、先頭車は妻部について黒を基調としたデザインにして落ち着きを持たせている。
先頭車と中間車でデザインを変えた理由は、「2つのデザインを比較検証するため」と、山梨リニア実験センターの大島浩所長が話す。2つのデザインのうち優れたほうを採用する、あるいは両者の“いいとこどり”をする可能性もある。
荷物棚のデザインも先頭車、中間車とでは違う。どちらも従来のL0系よりも小さいという点で共通しているが、先頭車の荷物棚は天井に広がりを持たせるためのデザイン、中間車の荷物棚は採光性や荷物視認性を考慮したデザインという違いがある。
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