県とは対照的、静岡市は「JRリニア工事」許可へ 河川法管理権限を市に移せば問題は解決する
JR東海のリニア静岡工区着工は赤信号が灯ったまま、解決の糸口さえ見えない。
静岡県反対の“武器”は、1級河川・大井川の河川法許可権限である。地下約400mという大深度のトンネルにもかかわらず、河川占用の許可が必要だが、川勝平太静岡県知事は中下流域の「利水上の支障」を盾に認めない。
国に河川占用の許可権限を戻すのではなく、政令指定都市・静岡市が権限移譲に手を挙げれば、万事うまくいくはず。リニア「静岡問題」解決の最強策となるわけだが、問題は、川勝氏から“小僧っ子”扱いされている田辺信宏市長を国がどう支援できるかにかかっている。
川勝知事と田辺市長の関係は最悪
2人とも早稲田大学政治経済学部の同窓生だが、川勝氏は田辺氏を一方的に嫌う。静岡県民、特に静岡市民は、川勝氏が田辺氏の政治手腕をことごとく否定し、「自民市議の傀儡(かいらい)にすぎない」など強烈に罵倒する場面をしばしば見てきた。
冷え切った2人の関係を象徴するのは、2019年4月に行われた静岡市長選。当初、川勝知事は自治体の首長選挙に一切関わらないと明言していたが、難波喬司副知事の擁立に動いた。
難波氏が立候補を断念すると、最終的に立候補した77歳の前県議の支援に回り、投票日前日には街頭演説にまで繰り出し、「副知事を市長特別補佐官として派遣する」とまで約束して大応援した。
そんな逆風にめげず、3万票余差で大勝した田辺氏は当選翌日、「ノーサイドで未来志向の関係を築きたい」と知事を訪問したが、川勝氏は「市民の2人に1人が批判的な『嵐の船出』だ。場合によってはリコールもありうる」などかたくなな態度で拒み、関係修復はほぼ不可能の状態になった。その後も、事あるごとに、田辺氏は批判され、貶められている。
2017年6月の県知事選では、川勝氏は「県庁所在地に2人の船頭は不要」など静岡市を廃止する独自の“県都構想”を唱え、「静岡市葵区は広く、南アルプスのふもとの井川地区はほったらかしだ」などと田辺氏を批判した。
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