県とは対照的、静岡市は「JRリニア工事」許可へ 河川法管理権限を市に移せば問題は解決する

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リニア問題を議論する中、田辺氏の抜け駆けに、川勝氏らは激怒。だが田辺氏は、「政治とは利害調整。それができるのが政治家」と、どこ吹く風だ。

県とJR東海とのリニア議論で、蚊帳の外に置かれている田辺氏がはたして、問題解決のために乗り出すかどうかは、国の支援とJR東海の対応にかかっている。

大井川の管理権限を静岡市に移す場合、市の財政面、人的面の負担が最大のネックとなる。国については同じ国土交通省でも、リニア工事を推進する立場の鉄道局ではなく、河川担当部局の全面的な支援が不可欠だ。

国交省は一枚岩になれるか

国交省は旧建設省、旧運輸省の寄り合い所帯であり、事務次官ポストなどを巡る対立だけでなく、地方組織もまったく違う。旧建設省の河川担当部局は鉄道局のリニア工事を冷ややかに見ているというのが現実だ。田辺氏が決断するには、国交省が一枚岩となって支援できるかがカギとなる。

また、JR東海は中下流域の不信感を払拭するために地域振興策を打ち出すべきだ。難波副知事は10月2日の日本記者クラブでの会見で、県のメリットが何かを話すのは時期尚早と述べていたが、JR東海が積極的に地域に寄り添う姿勢を示せば、流域市町の対応も変わる。

当初、JR東海が提案していた静岡市道閑蔵線トンネル建設に打って出れば、川根本町はじめ中下流域と南アルプスを結ぶ観光のシンボルともなり、田辺氏の政治決断への強い後押しにもなる。

来夏の知事選に川勝氏が出馬し、再選されるかどうかも焦点となるが、いまのところ自民の有力な候補は見当たらない。難局を打開するには、国は、静岡市にリニア担当の「市長特別補佐官」を派遣することが最良の解決策となるかもしれない。

小林 一哉 ジャーナリスト

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こばやし・かずや / Kazuya Kobayashi

1954年静岡県生まれ。78年早稲田大学政治経済学部卒業後、静岡新聞社入社。2008年退社し独立。著書に『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』(飛鳥新社)等。

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