5G対応「iPhone 12」は形も大きさも超絶進化 最も小さく薄くて軽い「iPhone 12 mini」が登場

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アップルはこれまで、同社のオペレーションを100%再生可能エネルギーに転換し、iPhoneの製造に関わるサプライヤーについても、同様の転換を進めてきた。アップルにパーツや技術を提供する日本企業も、すでにエネルギー転換を済ませている企業が増えている。

アップルは2030年までに、気候変動に対する環境インパクトをゼロにする目標を立てて、その取り組みを強めている。同社で最も販売台数が多いiPhoneの最新モデルにも、その取り組みの効果が見られた。

iPhone 12シリーズには、これまで製品に付属してきた充電器とLightning接続のヘッドフォンを付属させないこととした。ワイヤレスによる充電やオーディオの普及や、買い替える人が手元に同じものを余らせている現状から、思い切った決断を下したことになる。

iPhoneは年間およそ2億台が販売されるが、今後販売されるiPhoneの多くで、充電器とヘッドフォンのための資源を削減することができ、またiPhoneの箱そのものもよりコンパクトにすることで、輸送による環境負荷を低減できるようになる。

さらに、iPhone 12シリーズで用いられるレアアースや磁石は100%リサイクル素材を採用している。アルミニウムやステンレススチール、ガラスといったiPhone向けの外装素材はまだリサイクル化されていない。Apple WatchやiPad、Macではすでにリサイクルアルミが用いられていることを考えると、iPhoneの資源保護については、まだ道半ばである。

販売時期と価格は?

今回発表されたiPhoneは、モデルごとに、段階的に発売される。まず10月16日午後9時に予約が開始され、10月23日に発売されるのが、iPhone 12(税別8万5800円~)とiPhone 12 Pro(税別10万6800円~)で、6.1インチのディスプレーを備える2モデルが先行して登場する。

2020年のiPhoneラインナップ。iPhone XR、iPhone 11はラインアップに残り、値下げされている(写真:アップル基調講演ビデオより)

また5.4インチのiPhone 12 mini(税別7万4800円~)と、6.7インチのiPhone 12 Pro Max(税別11万7800円~)は、11月6日に予約が開始され、11月13日に発売される。アメリカでは11月3日に大統領選挙を控えており、iPhoneはモデルによって、大統領選挙を挟んだリリースの日程が組まれた。

保存容量は、iPhone 12とiPhone 12 miniは最大256GBまで、iPhone 12 ProとiPhone 12 Pro Maxは512GBまで用意される。iPhone 12 Proについては、Dolby Visionでの撮影やApple ProRAWでの保存を考えると、iPadのように1TBモデルがあってもよかったとも感じた。

新型コロナウイルス感染が収まらないなかで、アップルは1カ月遅れてようやくiPhoneの発表にこぎ着けることができた。特にシェアが4割以上となっている先進国においては、5Gの普及促進はiPhone任せになっている状況もあり、待望のリリースとなる。

その一方で、経済や消費が鈍っており、ハイエンドモデル一辺倒での進化ではなく、基本性能の充実と、小型で価格を抑えたモデルを登場させるなど、ミドルレンジの価格帯の充実という2020年のアップルのマーケティング施策をしっかりかなえたラインナップとなった。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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