権力者の監視「素人でもできる」調査法のリアル オンラインツールを使い、問題をあぶり出せる
「オープン・シークレット」の強みは情報収集力だ。政治家たちの納税や献金などのデータを独自に収集し、調査結果を日々ウェブサイトで更新する。この10月1日に公開されたデータでは、「今年の選挙の総経費は過去最大の約110億ドルの見込み」と明かし、詳細をグラッフィックやチャートなどでわかりやすく見せた。
このサイトでは、トランプ大統領と民主党の大統領候補バイデン氏の各陣営に向け、どんな団体がどれだけの金を寄付したかが一目でわかるリストも掲載されている。それによると、トランプ陣営の財源の52.88%は計200ドル以下の小規模な個人献金者、46.78%は高額献金者だった。バイデン陣営では、高額献金者が最多で52.52%。小規模な個人献金者は37.87%となっている。
このサイトでは、個々の献金者リストも掲載されており、政治家たちのカネの出どころが丸裸にされているのだ。
こうした非営利団体はアメリカにいくつも存在している。そして、これら団体の調査結果に支えられているのが、アメリカの調査報道の特徴だ。各メディアの調査報道記者たちはもちろん、市民なら誰もが無料でアクセスできるデータベース。それがオンライン上にあふれており、指先1つ、クリック1つで誰もが調査に乗りだすことができる。
日本には見られない、ジャーナリズムを支える土壌である。
進化するオンラインツール
調査報道会議では、この他にも調査報道に力を発揮するオンラインツールが紹介された。例えば、以下のようなツールである。
アメリカ内の特定の人物や家を探すためのツール。名前で検索すると、人物の顔写真、誕生日、メールアドレス、所有する土地や仕事など、オンライン・オフライン上にある情報がまとまって表示される。
・顔認識機能で人物を特定する「ピン・アイズ」(PimEyes)
探したい人の顔写真をアップロードすると、検索エンジンの顔認識機能がネット上から同じ特徴の顔を探し出し、一覧で表示される。
・ツイッターをリスト化「ツイートビーバー」(TweetBeaver)
特定のアカウントの過去の投稿を一覧で表示したり、2つのアカウントの関係や会話を調べたり、さらには2つのアカウントに共通するフォロアーを一覧表示できたりする。機能は全部で14種類。SNS上でのやりとりを調べる際に役立つサイトだ。
これらのウェブサイトを使うと、グーグルの検索エンジンでは表示されない写真や個人情報まで出てくる。
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