権力者の監視「素人でもできる」調査法のリアル オンラインツールを使い、問題をあぶり出せる

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「今年の州選挙は、過去10年間で最も重要なものになる」

国際会議でそう語ったのは、デニス・ロス=バーバーさんだ。ロス=バーバーさんは、アメリカの政治家たちの選挙資金データを収集、公開する非営利組織「政治資金国家研究所(National Institute on Money in Politics)」のディレクターである。会議では「2020年の候補者たちのカネの流れを追う」で講演した。

同研究所が運営するサイト「フォロー・ザ・マネー(Follow the Money=カネの流れを追求しよう)」は、全米各州の政治家たちの政治資金や選挙運動費が一目でわかるデータベースだ。とくに献金については、個人名や企業名を含め、どんな業種の人たちがどの政治家に多くのカネを渡しているかを細かく分類している。

「フォロー・ザ・マネー(カネの流れを追求しよう)」の画面。全米各州の政治家たちの政治資金や選挙運動費が一目でわかる

「フォロー・ザ・マネー」は州レベルの議員たちの資金に特化して分析、公表している。来月3日に行われるアメリカ大統領選挙と同時に、11州と2つの自治領で知事選挙が行われる。大統領選挙候補者たちにとって、当選後の国策を支持する州知事を誕生させることは死活問題でもある。ロス=バーバーさんは言う。

「大統領選挙の資金問題をあぶり出すカギは、このような州単位のデータにあります。州知事を含めて各州政府をいかにコントロールするか、これが大統領選挙の候補たちの最大の関心になっているんです。記者たちは、普段の選挙取材では気にならないような人物が選挙に絡んでいる可能性があることに注意しながら、取材すべきです」

「公の秘密」を暴く「オープン・シークレット」

同じ講演に登壇したマイケル・ベッケルさんは、政治資金の透明化を目指す非営利組織「イシュー・ワン」のリサーチディレクターである。「資金問題を追う記者たちには必見のサイトです」とベッケルさんが紹介したのは、「オープン・シークレット(OpenSecrets=公の秘密)」だ。アメリカ連邦議会の上院議員や下院議員の献金などはどうなっているのか。その流れを調べるのに最適だという。

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