テレビの「●時45分開始」番組への強烈な違和感 視聴者軽視のフライングで誰が得しているのか
まずテレビ朝日のケースを見ていくと、「スーパーJチャンネル」がよくないから15分間短縮して、各曜日のバラエティーを15分間前倒しかつ拡大したわけではないでしょう。他局が19時まで報道・情報番組を放送する中、「テレビ朝日は18時45分から、いち早くバラエティーを放送することで、バラエティーを好む視聴者を自局に取り込みたい」のです。
とくにテレビ朝日が平日ゴールデンタイムで放送しているバラエティーは、「視聴者の年齢層が高く、広告収入につながりにくい」と言われているため、「放送時間を早くすることで、より若い世代の流入を狙っている」とも言えるでしょう。
このような「他局より先に放送してチャンネルを合わせてもらおう」という戦略は、“フライングスタート”と呼ばれ、テレビ朝日に限らず各局が使用しています。
ただ、その大半は“〇時54分スタート”“〇時56分スタート”などの数分間前倒ししただけのレベルであり、今回の“18時45分スタート”は相当なフライング。「ちょっとだけ早くはじまる」というより、「1コーナー分、早くはじまる」というイメージであり、意識だけでなく行動も変えなければいけません。例えば、その番組を見るために、食事の準備や入浴などのルーティーンを調整しなければいけない視聴者もいるでしょう。
「最も早くはじまるニュース番組」の看板
一方、フジテレビの狙いは、さらに明確。視聴率争いでトップを行く日本テレビの「news every.」が15時50分から、それを追うテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」が16時40分から、TBSの「Nスタ」が15時49分から放送されているため、「イット!」を15時45分からスタートさせることで、「最も早くはじまる夕方のニュース番組」になれるからです。
いち早く放送しはじめることで「イット!」はニュースへの関心度が高い視聴者をしっかり確保。まずはチャンネルを合わせてもらい、「そのまま見続けたくなる構成にする」「後半にも思わず見たくなるコーナーを作る」などの策を施しているのです。
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