「猫カフェに子猫2匹を捨てた」飼い主の無慈悲 ペットを飼う資格「ある人・ない人」の決定的差
猫カフェの前に置き去りにするという今回のような行為は、どんな罪に問われるのでしょうか。2020年6月に施行の「改正動物愛護管理法」では、「愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する」と定められています。
「遺棄」とは捨てて置き去りにすることを意味し、それはもちろん犯罪です。保護猫カフェということで、「保護してくれるのではないか」と勘違いをしている人も多いようですが、猫カフェとは「室内に猫を放し飼いにし、猫とふれあう時間を提供する業態の喫茶店」のことを指します。
今回の場合、そこにいる猫がすべて保護された猫ということであり、「保護猫カフェ」とされています。里親募集型なので、ご縁があればそこにいる猫を譲ることはあっても、決して捨て猫を保護することを第1の目的とした施設ではないわけです。
数年前、筆者の家の玄関前にも5匹の子猫が入ったキャリーバッグが置き去りにされていたことがありました。
ご丁寧に「ペットに関わるお仕事をされている方と聞きました。飼い猫が子猫をたくさん産んでしまったのですが、すでに4匹の猫がいて全部は飼えません。大変心苦しいのですが、どうかこの子たちをよろしくお願いします」という内容の手紙が添えられていました。一見すると愛情が込められた手紙のように見えます。
しかしながら、子猫たちが置かれていた場所は雨風がしのげる軒下ではなく、もし天候が悪くなっていたら、その命が危険にさらされていたかもしれません。もちろん、そのような飼育状況で飼い猫に避妊手術をしないことや、産まれた子猫を他人に押し付ける行為も褒められたものではありません。手紙が添えられていても、悲しい気持ちしか残りませんでした。
飼い主になることの「責任」とは?
猫カフェに子猫を置き去りにした女性にどんな事情があったのかはわかりません。けれど筆者の家の前に子猫を置き去りにした人と同様に、安易に飼うことが、安易に捨てることにつながるのだと感じています。これはコロナ禍での需要の拡大で危惧されている点でもあります。
2013年施行の改正動物愛護管理法において、「飼育している動物が、その寿命を迎えるまで適切に飼育すること」という飼い主に対する終生飼養の努力義務が明文化されました。
しかしながら、大切に愛情をかけて飼う人がいる一方で、飼ってみたら「言うことを聞かない」「手がかかりすぎる」「鳴き声がうるさい」などの理由で、保健所や動物愛護センターなどに引き取りを求めたり、前述したように捨てたりするケースが後を絶ちません。
犬や猫などのペットは飼い主を選ぶことはできず、その飼い主により幸か不幸かが決まります。だからこそ飼う前に、十分に時間をかけて「飼い主になる」ということを真面目に考えることが求められます。
たとえ終生飼養を覚悟して飼ったとしても、予期せぬことは起こります。もし、飼うことができなくなったときには、どんな状況であっても「命をつなぐ」という努力をすることが飼い主の責任ではないでしょうか。
「猫たちの幸せのために、また、自分自身のためにも、捨てるという選択をする前に相談をしてほしい」と前述の今村さんは心から願っているそうです。
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