勝ち組マクドナルド、次は大量閉店で“攻勢”
日本マクドナルドホールディングスが大胆な改革に乗り出す。向こう1年で全店舗の1割強に当たる433店舗を一気に閉鎖。その後、5年内に633店を集客が見込める好立地へ移転する。
「新しい展開を進めるうえで、どうしても追随できない店が存在する」(原田泳幸社長)。閉鎖の対象となるのは「負の遺産」と名付けられた店舗群。厨房が狭く全メニューを提供できない小型店や、ブランドイメージを損なう歓楽街の店などが相当する。売上高に占める割合は5%程度で不採算店が中心だ。
同社は1991年から2003年で店舗数を900から3900まで急拡大させた結果、7年連続で既存店売上高が減少した苦い過去がある。「1店当たりの売上高が減る中、店舗数が急速に拡大する悪い流れに陥っていた。整備や人材教育への適切な投資が欠けていた」(原田社長)。
現在は店舗間の売上高格差が最大12倍に広がっており、早期に圧縮する方針。一方で、4月以降に東京都内に新型店をオープンさせる。黒を基調に高級感を訴求する店舗でブランドイメージの改善につなげる。
大胆な退店に踏み切れるのも勝ち組だからこそ。過去6年間でコーヒー無料化や100円メニューを充実させる一方、デフレのさなかでも計5回の値上げを断行。原田氏が社長に就任した04年以降、既存店は6年連続で上昇している。09年12月期は上場来最高益を更新した。