もちろん、多くの経済学者たちは、こうした一連の景気対策が間違った政策であることを知っている。だから、アベノミクスの第1の矢=金融緩和と第2の矢=財政支出という景気対策をして、短期の時間稼ぎをして、その間に、第3の矢=成長戦略で、短期ではなく長期の経済成長を目指すことを期待した。
アベノミクスの成長戦略は、そもそも間違っていた
そうした人々の期待とは裏腹に、アベノミクスでの第3の矢は本気ではなく、失望となった。しかし、アベノミクスの第3の矢である成長戦略は、後述する2つ目の間違った経済成長を目指したものだった。だから、万が一成功したとしても、真の経済成長は実現できなかったはずだ。
成長戦略の柱のように見えた「働き方改革」「1億総活躍社会」といったこれらの政策の本質は何だったか。要は、市場経済への労働投入量を増やすことに多くが傾けられたのではないか。
これらは、量的な経済の拡大はもたらす。だが、それは真の経済成長とはならない。GDPは拡大するかもしれないが、それだけでは人々は幸せにならない。生活の質の改善も目指したかもしれないが、大半はいままで大切にしていた時間を、通勤地獄とオフィスでのストレスフルな時間に変えることによって、現金を得るに等しいからだ。
その得た給料(賃金)で、子供を託児所に預ける。帰りに居酒屋で憂さ晴らしをすれば、現金支出は増加し、結果としてGDPは増えるかもしれない。しかし、幸せにはならないのだ。
海外から投資を呼び込むことも同じで、資本投下量が増え、規模拡大は実現するが、やはり経済にはプラスにならない。日本の金融機関は預金の投資先がなく、そこへ新たな投資が来れば、資本がさらに溢れる。
資本が溢れるとどうなるか。もちろん、バブルになる。要は、海外から投資を呼び込むとは、株と不動産への買いを増やし、バブルを作るだけなのだ。短期景気対策のバブルと異なり、こちらは、そもそもバブルを作ろうとして作っているから、さらに罪深い。この、労働や資本の投入量を増やすことで目指す経済成長が、第2の間違った経済成長だ。
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