税抜と税込「値札」をよく見ない人ほど買う真実 小売りの業界団体が税抜表示の容認を求める訳

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実験に使ったデータは以下3つ。

1. 販売数量に関するデータ:
インテージ社(市場調査・マーケティングリサーチ)によるSRI(全国小売店パネル調査)。全国約5000店舗のPOSデータを基に「どの商品が、いつ、どの店舗で、いくつ販売されたのか」を集計したもの
2. 値札変更情報:
帝国データバンクによる事業者ヒアリング。特措法施行後の値札変更の有無と、変更した場合は時期を確認したもの
3. 所得別購入数量:
インテージ社のSCI(全国消費者パネル調査)。モニター5万人(性別、学歴、年収情報などを含む)が、いつ、どの店舗で何を買ったのかを記録したデータ

1~3のデータを接続したうえで、次の作業をした。

2013年10月に値札を税抜表示に変更した店舗をAグループ、総額表示のままだった店舗をBグループに分類。

どちらも総額表示を採用していた時期(2013年4月から9月まで)のAグループとBグループの販売数量の差をX、価格表示が異なる時期(2013年10月から2014年3月まで)のAグループとBグループの販売数量の差をYとすると、XとYに違いがあれば、それは価格表示変更による影響で生じた差と解釈することができる。

検証の結果、XとYには約3%の差がみられた。税込表示を採用した店舗は、税抜表示を採用した店舗より販売数量が約3%低かったのだ。

高所得者ほど値札に影響されていた

実験では、世帯所得により反応が異なることも明らかとなった。

消費者の購買履歴が記録されている家計簿データ(インテージのSCI)を利用し、消費税が8%に上がった2014年4月以降も税込表示を維持した購入先と税抜表示に変更した購入先で、その前後に購入数量に変化があったかを検証した。

この検証では、世帯所得700万円以上の高所得者と400万円未満の低所得者の2グループで比較を行った。

結果は、高所得者では税抜表示店舗と税込表示店舗の購入数量差が4.8%拡大したのに対し、低所得者は1.3%にとどまった。

つまり、高所得者ほど値札表示に対する反応度が高く、支払い金額が同じであるにもかかわらず「見た目の違い」に左右されていた。

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