アメリカ初「億万長者税」を導入したNJ州の思惑 コロナ禍で議論が進むアメリカの富裕層増税

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膠着打開の兆しが見えない中、マーフィー知事やニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(ともに民主党所属)など州のトップは連邦政府に早急な支援を繰り返し求めている。

全米州議会議員連盟(NCSL)によると、高所得住民に対する増税を検討している州はカリフォルニア州やマサチューセッツ州、ニューヨーク州など、ニュージャージー州のほかに少なくとも8つ存在する。

増税はリーマンショック後にも広がった

同様の動きは、リーマンショック後にも見られた。世界金融危機による不況で打撃を受けた州予算の均衡を保とうと、少なくとも10州が2010〜12年にかけて増税を行った。

ただ、ニュージャージー州が富裕層増税に動いたのには、貧富の差を縮める税制対策を求める進歩派の声が全国的に高まってきたという事情もある。黒人やラテン系のコミュニティはパンデミックで特に深刻な被害を受けており、コロナ禍で格差は一段と拡大した。

ニュージャージー州はアメリカでも2番目に裕福な州であり、今回の富裕層増税により今年度中に3億9000万ドルの税収が生み出される見通しだ。州当局によれば、同州の住民1万6491人と非居住納税者1万9128人に今よりも高い税率が適用されるという。

パンデミックによる緊急的な公衆衛生対策と数カ月にわたる企業活動の停止から、同州の財政は危機的状況に陥っている。こうした状況を受け、州議会議員は100万ドルを超える所得に対する税率を現在の8.97%から10.75%に引き上げることに同意した。500万ドルを超える所得がある個人には、すでに10.75%の税率が適用されている。

感染拡大を止めるためにマーフィー知事がロックダウン(都市封鎖)を実施して以来、失業給付を申請した住民は150万人を上回る。同州では、新型コロナで死亡した住民の数も1万6000人を超した。

(執筆:Tracey Tully記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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