「11月3日トランプ圧勝」で始まる米国の大混乱 民主党が選挙後狙う「永遠の政権維持計画」とは

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まず今の段階で、両陣営が一致していることがある。それは、11月3日当日は、選挙人の数では「トランプ大統領の圧勝」で終わるということだ。
その理由は、今回民主党では、同党支持者の60%以上が郵便による投票になると予想しているからだ。予想しているというよりも「さまざまな手段で(コロナの恐怖も味方にして)できるだけ郵便投票が増えるよう画策している」といった方が正しい。一方、共和党支持者は80%以上が、投票所に行き投票すると予想されている。

そもそも、なぜアメリカでは選挙が火曜日なのか。これは「米大統領選『ヒラリーで決まり』は早すぎる(2016年)」でも触れたように、アメリカが「大草原の小さな家」(NHKで放映された有名なドラマ)の頃までは、教会で日曜礼拝を済ませ、それから馬車で投票所まで行くには月曜日は移動に充てる必要があったから、という説が有力だ。

このように、建国の頃は人口の10%以下しか投票権がなかったとされるアメリカが現在の姿になるまで、長らく選挙で主導権を握ってきた白人の保守層は「投票所で投票することこそが本来の民主主義のあるべき姿」と考えている。

今回の大統領選で勝敗を決する「カギ」とは?

いずれにせよ、11月3日の時点では、大半が投票所でのトランプ大統領への投票分と、それまでに集計が済んだ郵便投票の結果が出るだけだ。ならば、当日はトランプ大統領が大勝したような結果になる。

だが、問題はここから始まる。その後の思惑は両陣営で異なる。民主党は翌日から、続々と郵便投票の結果が入り始め、最終的にはバイデン氏が勝利すると確信している。一方、共和党はラスムセン調査の示唆の通りとなり、激戦州もトランプ大統領が制して再選を遂げると信じている。

選挙予想については、2016年に「東洋経済オンライン」でトランプ勝利を予想したときにあったような確信はまったくない。1つ言えることは、今回勝敗を決するのは支持率というよりも、むしろ「アンダーグラウンドでの執行力」だとみている。

たとえば、激戦州のアリゾナやフロリダでは、共和党は知事職(それぞれダグ・デューシー氏、ロン・デデサンティス氏)を押さえ、州議会でも主導権を持っている。CNNの報道によると、そこでは選挙管理委員会のメンバーを全員共和党関係者に変更するという動きがあり、民主党は提訴したという。

一方、インデイアナ州では、民主党の活動家の女性が、郵便投票用紙の水増し請求で逮捕されるという事件も起きている。
 このように、9月の段階で共和・民主双方からの大統領選に絡んだ提訴は、すでに200件を超えている。ならば、ここから想像できるのは、選挙結果において、双方が自分たちに不利な結果を認めないことだ。

すでにヒラリー・クリントン氏などは、公の場で「バイデン氏は、何があっても負けを認めてはないならない」などと発言している。まさに民主党とバイデン氏陣営は、前回の記事で紹介した「Transition Integrity Project」(誠実な政権移行を支援するプロジェクト、ジョージタウン大学教授のローザ・ブルックス氏などが参画)の混乱のシナリオを着々と準備している。

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