マレーシアを下に見る日本人が慌てる先進日常 接触確認アプリは半数導入、現金レスも進む

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小さなローカルレストランも当初は手製の2次元コードで客の連絡先や体温の管理を行っていたが、政府管轄の統一アプリ「MySejahtera」への切り替えが進んでいる

このように政府主導で急速にデジタル化が進むなか、ビジネスから教育、さらには市民生活のあらゆる風景においても、コロナと共に生きる「ニューノーマル」は、加速度的に進化し始めている。

ロックダウン後からマレーシアで人気を呼び始めたフットゴルフというスポーツ。サッカーなどが接触を伴うとして禁止されていたなかで、ゴルフ場でサッカーボールを蹴ってスコアを競うこのフットゴルフが接触を伴わないとして人気を呼んでいる。

注目すべきなのは、そのプレー料金の支払い方法だ。ロックダウン後に久々に友人同士で集まりフットゴルフで汗を流した、クアラルンプール在住の会社員、ベンさん(31)。一括して事前に支払いを済ませていた友人に対して、割り勘で現金を手渡しするのではなく、その場でスマートフォンをかざして2次元コードを利用し、送金を完了させた。ベンさんは最近、財布に現金はほとんど入れなくなったのだという。

もともと、東南アジアはキャッシュレスが日本より早く市民生活に浸透してきたが、特に、不特定多数の人が触れる紙幣を敬遠する流れが加速しており、「現金をあまり持ち歩かなくなった」と言う人は少なくない。屋台などでも2次元コード利用が当たり前になってきている。「スマートフォンさえあれば、最悪困ることはない。なんでも済ませられるよ」とベンさんは軽やかに笑う。

2次元コードを活用した「思い出」の共有

大学生活にもデジタル化の波は及んでいる。

この春にマレーシア国内の大学に入学予定だったイスラム教徒のアリアさん(18)。コロナ禍で入学式もお預けとなり、大学の授業はZoomを使って行われているが、大学側が学生に課した課題が実にユニークだ。

「ロックダウン中に会えない友人にクリエイティブな”デジタルギフト”を作成しよう」という課題で、自宅からオンライン授業をつなぐ日々のなか友人らに会えずに過ごす学生たちに向けて、あらゆるデジタルを駆使して「クリエイティビティ」を発揮しよう、というものだ。

アリアさんは早速、動画配信サービスNetflixを模したデザインを、画像編集ソフトウェアの「Photoshop」を使いこなして創り上げた上で、表紙には自作の「2次元コード」を掲載。クリックすると、数百枚に及ぶ友人たちとの思い出写真や動画にアクセスできる仕組みを独自に完成させた。

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