エヌビディア、4.2兆円買収で狙う覇者の地位 ソフトバンクGから半導体設計アームを買収
私たちはアームとともに、AI時代の最高峰のコンピューティング企業を生み出す――。
9月13日、アメリカの半導体大手、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは高らかに宣言した。ソフトバンクグループ(SBG)傘下の半導体設計会社で、イギリスに本社のあるアームの買収契約を伝える従業員向け書簡でのことだ。
トヨタを優に上回る時価総額
エヌビディアは「GPU」(グラフィック・プロセッシング・ユニット)と呼ばれる画像処理半導体で最大手の企業だ。GPUはゲームの3次元画像を高速で処理することが可能で、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」にも搭載されている。
エヌビディアがアーム買収に投じる金額は最大で400億ドル(約4兆2000億円)。うち100億ドル分は現金で、215億ドル分はエヌビディアの普通株を対価に支払う。このほか、アームの業績に応じて対価の一部を後払いする「アーンアウト」で最大50億ドルを現金もしくは普通株で支払う契約だ。
中国やEU、アメリカの規制当局から承認を得れば、SBGとビジョン・ファンドはエヌビディア株の6.7~8.1%を保有する大株主になる。
エヌビディアは今や、半導体業界のなかでもっとも勢いのある企業の一つになっている。そのことを象徴するのが7月、半導体業界売上トップでCPU(中央演算処理装置)の覇者、インテルを時価総額で抜いたことだ。インテルの時価総額22兆5000億円(9月18日現在)なのに対し、エヌビディアは32兆3000億円。トヨタ自動車の23兆1000億円を優に上回る。
インテルの営業利益2兆3000億円(2019年12月期)と比べると、エヌビディアの営業利益は3000億円(2020年1月期)にすぎない。エヌビディア日本法人の大崎真孝代表は「われわれはスタートアップ。組織に垣根は一切ない」と語るが、PER(株価収益率)は80倍超で、それだけ将来の収益に対する投資家からの期待が高いことがわかる。
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