減配アコーディアに詰め寄った「物言う株主」 村上ファンドの元課長が決算説明会で異例の質問

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鎌田社長は「総株主還元性向でとらえてほしい」と語った(写真:大塚一仁 写真は2012年12月の個別取材時のもの)

レノグループはTOB締め切り直前の2013年1月に突如、アコーディアの筆頭株主に浮上。レノのアコーディア株買い集めによって株価が急上昇したことが、TOB成立を阻んだといえる。

とはいえ、当時、アコーディアがTOB対抗策に掲げた「配当性向90%」を評価した投資家が、アコーディア株の継続保有を選んだというケースも少なくなかったはずだ。

三浦氏の追及に対し、アコーディアの鎌田隆介社長は「配当と自己株取得をバランスよく進める。みなし当期純利益(特別損益を除く税引後の利益)の45%をベース配当として還元し、さらに循環型ビジネスによる利益・キャッシュについても、主に自己株買いで還元していく。総株主還元性向というとらえ方の中で最大化を目指す」と回答した。

「総株主還元性向の具体的な数値目標はあるのか」との三浦氏の質問には、「当社が発表を予定している中期経営計画にかかわることなので、これはもう少しじっくりと詰めさせていただきたい」(アコーディアの鈴木隆文・常務執行役員)と、ひとまず回答を保留した。

会社提案への賛同を表明していた

両者のやり取りには説明が必要だろう。アコーディアは3月28日、保有するゴルフ場133コースのうち90コースを売却する「アセットライト」戦略への転換をブチ上げた。8月上旬にゴルフ場保有子会社の株式をSPC(特別目的会社)に“切り売り”し、そのSPCに対する持ち分をシンガポールで上場するファンド、ビジネス・トラストに譲渡。アコーディアは譲渡金額を受領すると同時に、SPCからゴルフ場90コースの運営を受託する。

90コースの譲渡により、アコーディアは最低でも1117億円を受け取る(それ未満の場合は譲渡中止)。これらの資金を使い、アコーディアは当のビジネス・トラストへ25%超を出資するほか、今年3月末時点で合計1008億円にも上る有利子負債の一部を返済し、さらに自己株式の公開買い付けを1株1400円、総額450億円以上の規模で行う。

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