ソニー社長、物言う株主に「前向き」 経営方針説明会、3つのポイント

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5月22日夕方、ソニーは「経営方針説明会」を開催した。平井一夫社長が就任1年目の2012年度を総括し、2013年度へ向けた課題などを45分ほど語り、その後、30分ほど記者からの質問に回答した。

この説明会のポイントをまとめてみよう。注目点は3つある。

その1:サードポイントの提案に前向きな反応

まず1つめは、「物言う株主」として知られるサードポイントに関するものだ。

平井社長は、サードポイントのCEOであるダニエル・ローブ氏からの株主提案に関する記者からの質問に対して、きわめて前向きに回答した。

株主提案の中で、ローブ氏は好調な映画、音楽事業が、エレキ事業の不振が続くソニーの中に埋もれてしまっていると指摘。現在100%の株式を保有している両事業をIPO(株式新規公開)することにより、その価値を顕在化させ、さらに両事業の利益率を高めていくべきだと提案している。

いったい、この提案にどう回答するのか。こうした記者からの質問には「一株主からの非公式な提案。詳細については話せない」と突っぱねるのがソニー流だが、今回はそうしなかった。

記者の質問の中に「エンタテインメントの部門切り離し」という言葉があったのを、平井社長はあえて次のように修正した。「誤解のないように説明すると、提案内容は切り離しではない。株式の15~20%をIPOしてくれという提案だ」。

その上で、平井社長はこう語った。「ソニーの中核事業に関わってくる大事な案件なので、取締役会で十分な議論をしたうえで回答していきたい。株主から提案をいただいた重要な案件であると認識している。これから株主とプラス指向の対話ができることを期待している」。

議論を行う取締役会は現在の取締役会か、それとも6月のメンバー入れ替え後の取締役会かを問われると、「重要な案件であり、現在の取締役会で検討を行っている」(平井社長)。言葉の端々に前向きなニュアンスが伝わった。

金融事業であるソニーフィナンシャルホールディングスがすでに上場していることもあり、映画と音楽の株式上場も自然な選択肢といえるのかもしれない。

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