2025年、日本が「大阪」に救われることになる訳 万博、IR、都構想でがぜん盛り上がり始めた

✎ 1〜 ✎ 329 ✎ 330 ✎ 331 ✎ 最新
拡大
縮小

政府が成長戦略に盛り込んだIRの最有力候補地は大阪です。IR=カジノの印象が強すぎますが、実はカジノの面積は全体の3%にすぎない。97%は高級ホテルや国際会議場、テーマパークなどのリゾート施設。人材派遣や警備、清掃を含めすべてのサービス業の雇用が増える。大阪府は8.8万人の雇用増を試算していますが、これは十分可能な数字です。外国人や富裕層向けの高級リゾートで、ホテルも会議場も世界水準の規模と質をそろえ、海外からの遅れを一気にキャッチアップしようというのが国の作戦です。

IRで東西南北の個性が際立つ

──どうしても、ラスベガスのギラギラが浮かんでしまう……。

『大阪が日本を救う』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

稼ぐために富裕層向けビジネスは必要。一方で中流の人々が楽しめるコンテンツも大事。その点、大阪はキタが都会的なビジネス街なら、ミナミは庶民的活気に満ちた商業エリア、東にはものづくりの街がある。そこで西側を高級リゾートにすれば、東西南北それぞれの個性が際立ち、魅力を発信できる。それこそ大阪ならではの強みだと思う。IR一本足打法はダメで、多面的な魅力を発信するニューヨークやロンドンのように、大阪もなるべきだと思うんです。

──大阪都も、住民投票で通れば2025年に発足する予定ですね。

住民投票で通ったとして、大事なのは円滑に新体制へ移行し、2025年以降の成功戦略をしっかり描くこと。行政の現場が迷走したら万博までグチャグチャになる。

また都構想は、少子化時代の自治体における新しい形という点で意義が大きい。その第1号が大阪都です。行政を効率化するため自治体合併は避けられない。都道府県はこのままでいいのか、適正なサイズがあるのではないか。道州制の議論も再び出てくるはずです。

──“2025年”は大阪だけでなく日本にとっても節目の年になる。

ほかにも、医療産業やスタートアップ企業の集積など、大阪以外では知られていない先進的な取り組みは多い。東京一極集中を当然と思っている人に読んでもらって、地方でこんなビジネスチャンスが湧き上がっていることをぜひ知ってほしい。

中村 陽子 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT