半導体製造で珍しい、日本主導で標準化した分野 四角いパネルがまぁ~るくおさめまっせ~

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凋落したと言われがちな日本の半導体産業だが、特定の分野では業界標準を主導するなど強みもある。その珍しい事例を紹介する。

製品化された半導体
半導体の後工程にあたるパッケージング分野では日本のサプライヤーが健闘している(写真:Bloomberg)
※本記事は2024年9月4日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

この数年、何かと話題が増えてきた半導体だが、最近は特にパッケージングと呼ばれる製造工程に関して注目が集まっている。

そもそも半導体チップの製造工程は前工程と後工程の2つの工程に分けられる。前工程はウェーハと呼ばれる円盤状のシリコン単結晶素材に、電気の流れをコントロールするトランジスタを作り込み、配線する工程だ。日本の熊本に進出したTSMCは主にこの前工程を手がけ、技術的な強みをもつ。

一方の後工程は、前工程で作られたウェーハから数十~1000個を超える半導体チップを小さく切り出して、配線を行い、樹脂封止した後に検査する工程を指す。この工程を経て、ようやく半導体という製品として出荷される。

近年、複数の機能をもつ半導体チップを積層して組み合わせるなど高度な接続を行うことが増えており、これを先端パッケージング工程と呼んでいる。このパッケージング分野で、実は日本のサプライヤーが健闘している。その状況を専門用語を解説したうえで、紹介したい。

チップレット、2.5D/3D実装とは?

最近何かと出てくる用語に「チップレット」がある。従来の半導体チップは、1つのチップ内に複数の機能を詰め込んでいた。これをMonolithic(モノリシック)と呼ぶ。一方で、機能ごとに個別のチップに分割したものそれぞれをChiplet(チップレット)と呼ぶ。このチップレット同士を接続する技術/製品も同じく「チップレット」と呼ぶことが多い。(図1参照)

図1:チップレットのコンセプト(出所:SE-Ho You(Samsung), “From Package-Level to Wafer-Level Integration”, IEDM2020, SC1)

近年メディアでも出回るようになった「チップレット」は後者の意味で使われることが多い。「チップレット」が注目されるようになったのは、半導体の能力向上につながる微細化のペースが物理的な限界を迎えつつあるからだ。また機能が複雑化して、チップ面積が大型化したことによって良品率(歩留まり)が悪化しやすくなるが、その影響を低減することも狙いだ。機能ごとに適切な配線ルールで個別製造したほうがトータルコストを低減できるのである。

この「チップレット」を製品化するときに使われる技術に「3D実装」がある。従来の複数個の半導体チップをパッケージ基板でつなぎ合わせるのを2D実装と呼ぶ。

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