貧乏東大生が見た「金持ち東大生」との残酷格差 「学生身分でベンツ乗り回す女子生徒がいた」
法学部在学中に予備試験を経て法科大学院に行かずに司法試験に合格してしまう人。まだ学部の4年生なのに英語での学会発表を質疑応答まで難なくこなし、発表後の懇親会では世界の研究者たちとこれまた巧みな英語で積極的なコミュニケーションをとっている人。
学生ベンチャーを立ち上げ、東大人脈を最大限に生かして一般的なサラリーマンの生涯年収くらいのお金をサクリと集めてしまう人。
院生の時点で高いインパクトファクター(影響力)の科学雑誌に研究論文を何本も載せる人……東大にはそんな人がゴロゴロいる。
頭の回転も集中力も行動力も、この人たちには絶対にかなわない――そんな絶望的な能力の差を、あらゆる機会に認識させられるわけで、僕のような凡庸な東大生にはけっこうつらいものがあった。僕と同じように、間近にいる本当に優秀な人たちに引け目を感じていた東大生は、少なからずいたはずだ。
貧困東大生が明らかにする「絶望的な格差」
東大内格差はまだある。
東大が発表している2017年の学生生活実態調査では、東大生の家庭の全体の20.8パーセントで「現在の生計を主に支えている者」の年間(2016年1月~12月)の税込み収入が1050万円を超えている。平均年収額は918万円。
同じ期間について調べた日本の一世帯あたりの平均所得は全世帯で560.2万円(児童あり世帯で739.8万円)なので、東大生には金持ちの家の子が多いことは明らかだ。単純に、家庭が裕福であれば、子どもはより豊かな学びの環境で勉学に励めるからだろう。
ただ、これはあくまで平均値の話だから、東大生には金持ちの子どももいるが、そうでない子どももいる。要は、東大生間の経済格差だ。
「そうでない子ども」はなにを思うのか。ここからは、僕が学生時分に所属していたサークルの先輩・宮須孝介さん(42歳)の言を借りたい。彼は貧困者を自認している。
「あるとき、学食の同じテーブルで同じ格安380円の日替わり定食を食べていたクラスメートたちと家の話になったんだ。そしたら、A君はNECの役員の息子、B君も帝人の役員の息子、Cさんは国立大学の教授夫婦の娘だということが分かった。うちの両親は中卒だし、おやじはずっとまともに働いてなくて家に貯金なんて1円もないから、がくぜんとしたよ。場違いなところにきてしまった。失敗した。そう痛感したね」
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