日テレ同時配信開始で聞こえる電波返上の足音 Z世代テレビ離れに放送の制度改正待ったなし

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同時配信については、NHKが一足先に今年4月から開始した。6時から24時までの、東京エリアで放送する番組を全国に同時配信し、追っかけ再生や放送後7日間は見逃し配信も見られるなどNHKの力の入れ方がわかる。

NHKはかなり以前から同時配信を早く始めたいと考えていた。関係者によると「スタートラインに両手をつき、クラウチングの姿勢のままスタート合図を今か今かと長年待ち続けていた状態」だったという。それに対して民放は同時配信についてはこれまで腰が引けていたが、日本テレビが一歩踏み出したことで、ほかの局も重い腰を上げざるをえないだろう。

とはいえ、NHKと違い民放の同時配信の実現には権利処理以外にも障害がある。それは、ローカル局問題だ。NHKと同様に、民放も関東エリアの放送を全国配信するようだが、そうなるとローカル局への打撃は小さくない。

とくにテレビ局が2〜3局という県域では、現在は放送されていない東京の他系列の番組がネット上で見られるようになるので経営が圧迫される。ローカル局はキー局以上に広告収入が減少しており、問題は深刻だ。

不便で時代遅れのテレビが生まれ変わるとき

ただ、ローカル局も含めた全民放で同時配信、見逃し配信が実現すれば、そしてすべての番組が共通のプラットフォームで配信されるようになれば、テレビはメディアとしてもビジネスとしても劇的に進化する。

ネットに進出すれば、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアとつながり、リンクを通じて視聴に誘導できる。アナログなテレビ広告がデジタルになり、はるかに先を行くネット広告のアドテクノロジーが使えるようになる。不便で時代遅れだったテレビが生まれ変わる。

さらにその先にあるのは電波からの解放だ。まもなくスタートする5Gが普及するカギはゲームと動画配信と言われており、すでにGoogleやApple、通信キャリアなど多くの巨大プレイヤーが動き始めている。ここ数年で一気にテレビもネットも含めたメディア環境が変わるだろう。

ネットでいつでもどこでもテレビ放送が見られるようになれば電波を使う必要はなくなり、貴重な電波はIoTなどの社会インフラに活用すべきだという議論は必ず起きる。10年後にはテレビ局は電波を返上しているかもしれない。

氏家 夏彦 メディア・コンサルタント

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うじいえ なつひこ / Natsuhiko Ujiie

TBSで報道、バラエティ、情報番組の制作、デジタル部門責任者、経営企画局長、コンテンツ事業局長。TBSメディア総合研究所社長、TBSトライメディア社長、TBSディグネット社長を歴任後、2017年7月に独立。『GALAC』編集委員。

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