コロナ禍で加速する「大廃業時代」の生き抜き方 これから1年以内に27万社が廃業しかねない!?
「廃業」とはいうものの、それは何を指すのであろうか。実は、「廃業」を検討していると答えている企業の中には、具体的なイメージがない場合が多い。その中身は3つに分けられる。
1つ目は、実質廃業。とくに届けを出すわけでもなく、経営者がひっそりと会社をたたむケースだ。
借入金の連帯保証債務の履行請求を免れるため、従業員を解雇したうえで、1人で細々とビジネスを続け、多少の売り上げを計上し、銀行へ毎月1000円とか2000円を返済し続けるという企業もある。一応弁済をしているという体裁をとっているが、いつかは債権がサービサーに売却され、債務の取り立てを受けることになる。
2つ目は、解散・清算の手続きを取って、会社を正式にたたむもの。
解散決議をして、清算人を指名する。清算人は、会社の財産を売却し、債権を回収し、債務を返済する。残余財産が残ったら、それを株主に分配して手続きが終わる。この手続きを通常清算と言い、それは資産が負債より大きい恵まれた会社に限られる。
負債のほうが大きいことが判明した場合には、特別清算という破産のような手続きに移行する。通常清算の清算人には会社の代表取締役であった者が就く場合が多く、経営者自らが店じまいをしていく形をとる。
3つ目は、破産である。債務超過の状態にあり、会社の債権を回収し財産をすべて売却しても、とても債務の弁済はできないというときに選択する。
破産申し立てを弁護士に委任し、その弁護士が裁判所に破産を申し立てる。すると、裁判所が別の弁護士を管財人に指名する。その管財人の厳格な監督の下で、債権債務の清算手続きが行われ、最後に残った債務は消滅する。
廃業を考え始めた人に知ってほしいこと
廃業は、どの会社の経営者にとっても考えたくない出来事である。また経営者は、自分の人生で過去に一度も廃業を経験したことがないから、何をやったらいいのかわからない。さらに、廃業すること自体に非常にネガティブなイメージがあり、多くの経営者はそれを考えることすら避けようとしている。
しかし、筆者のような中小企業の破産を扱っている弁護士から見ると、経営状況が厳しいと思ったら、経営者はできるだけ早い時期に廃業という選択肢を真剣に検討するべきだと思う。まず通常清算を考え、それが難しい場合に破産か特別清算、どちらもできないときには実質廃業するという順番になる。
通常清算は、うまくいけばいちばんスムーズな廃業となる。金融機関にも取引先にも迷惑をかけず、経営者自身にも財産が残るから、ハッピーリタイアメントである。
しかし、通常清算は資産が負債より大きいことが条件だ。簿価上、資産が負債より大きくても、資産の処分はなかなか簿価では行えない。とくに、今のように多くの中小企業が廃業を考えている状況ではそうである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら