Knotが国産腕時計メーカーとして絶対守る牙城

上場取りやめても、顧客と取引先のほうを向く

――Knotはアジア数カ国で店舗を拡大していますが、今後、アメリカ・ニューヨークやヨーロッパなどにも進出していくにあたっては?

今までアジア中心で、欧米圏に入れなかったいちばんの理由は、日本からの距離があります。今の時代、このハンデを覆せるのがeコマース(電子商取引)です。

スマホを開けば、SNSで海外のメーカーのいろいろな広告が入ってきますが、日本は内需が大きいため、メーカーはまず国内ビジネスを中心に考えます。一方で海外のメーカーの中でも、特に内需が少ない韓国や台湾などのアジア諸国のメーカーは、海外に売ることを第一に考える。ヨーロッパも同様です。

このように日本はeコマース・ネット販売の考え方が海外と真逆で、日本は、ネットを使って日本人に売ることを前提に考えられている一方で、欧米諸国は世界的に売ることを前提に考えられている。

――これをうまく表したのが、「Amazon」と「楽天」の違いですね。Amazonは全世界を対象にしているのに対し、楽天は、国内では最強でも、海外にいまだに進出できていないという違いがある。

これは、使用しているシステムの違いにあります。Knotも今まで越境ECをやっていましたが、国内のシステム、ASP(Application Service Provider)カート機能を使っていることで、海外に売ることはできても、決済がうまくできないという壁に今まで阻まれてきました。また、近くの大国ロシアに商品を送ることはできますが、届いたかどうかわかる追跡ができない。

今まではインスタグラムで広告を出して、それを見た人がKnotのWebサイトに入って、KnotのWebサイトから商品を買わなくてはいけなかったので、国によっては買えない人がいましたが、今後インスタやFacebook、YouTubeなどにショッピング機能がついたサービスが開始されれば、広告内で買い物ができるようになるのです。そうなると、自社のショッピングカートは関係なくなる。これはグローバル展開をしていくうえにおいては、劇的な追い風になります。これからは、積極的に海外展開に手を広げていきたいと考えています。

自分のすべてを懸ける覚悟、商標権を渡さない理由

――Knotには株式を上場する計画がありましたが、遠藤さんは直前で取りやめたそうですね。上場ゴールという言葉があるぐらい、多くのスタートアップ、ベンチャーが株式上場を目指すのに、なぜそのような決断を?

「Knotは絶対に誰にも奪われたくない」という思いからです。

私は今まで商標権や代理店権などを剥奪されることで、非常に苦しい思いをしてきたので、Knotは自分のすべてを懸ける覚悟がありました。

商標権は遠藤弘満個人で持っています。「商標権を上場するためには会社に譲渡してください」と、上場準備をしているときに主幹事の証券会社から言われましたが、また歴史が繰り返すのではないかと危惧しました。株式を上場すればほかの株主も入ってきます。Knotが自分のブランドであり続けるためには、商標権は渡すべきではないと考えました。

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