Knotが国産腕時計メーカーとして絶対守る牙城 上場取りやめても、顧客と取引先のほうを向く
――「結び目」であるという意味を込めて「Knot」という社名を付けたんですね。
最近、「結ぶ」「つながる」「絆」という言葉を耳にすることが増えてきていました。Knotのロゴマークをデザイナーにお願いしたとき、「Knot」の「o」マークが、「結ぶ」を意味するようにクロスされていて、これしかないと思いました。
いま、コロナ禍で世界中に緊張状態が続いていますが、コロナも地球の自然から生まれた1つの自然現象です。「サスティナビリティ」という言葉も注目されてきている中、自分の子どもや孫の世代に地球の未来をつないでいくことを真剣に考えていかなければいけない時代になってきました。そのような中で、「Knot」という名前をつけたことは、ここに来てさらに意味を成してきました。
Knotでは、今後環境問題を考え買い物袋の廃止を検討しているのですが、こういう方針を伝えるときにも、「未来を作っていくためには、ゴミをなくす。うちは『Knot』だから当然のことだ」いうように、社員にも伝わりやすいです。
おこがましいですが、Knotという名前に、世の中がマッチしてきたように感じます。
吉祥寺を選んだ理由
――「Knot」は吉祥寺からスタートしました。なぜ吉祥寺を選んだのでしょうか。
吉祥寺への思いは特別です。吉祥寺には学生時代から縁を感じています。前職をいきなり解任になって、まず訪れたのも吉祥寺。
腕時計ブランドが多くある銀座や表参道、六本木は敷居が高いイメージがあります。腕時計をリストファッションとして、1人でも多くの方に使っていただきたいと思ったとき、きれいな水や自然がありながら、肩に力を入れずに行ける街というのにマッチして、吉祥寺を選びました。私はこの街に支えられて、この街の方々に応援をしてもらって、今に至っています。
吉祥寺は、お店や個人商店はありますが、企業が少なく、古い街です。やっぱりここで代替わりしなければいけない。おじいちゃんが息子に譲って、その息子が息子に譲るだけでは、その会社が変わるわけではないので、うちみたいな企業が吉祥寺を盛り上げることが、吉祥寺に対しての恩返しになると思っています。
――地域に根差すというのも、1つの企業の生き方ですね。
栃木出身のお客さまは、栃木レザーのベルトを買っていく。山梨出身の人は、槙田商店の甲州織物のベルトを買っていく。自分の故郷の素材を採り入れて、製品化してくれるというのは嬉しいことみたいで、そういうつながりもとてもいいと思うのです。目標としては日本の全都道府県に1パートナーずつ作ってつないでいきたいですね。
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