台湾・蔡政権が日本の新首相に期待するもの

日本と台湾の間に必要なのは安全保障対話だ

――外省人ではなく、もともと台湾に住んでいた「本省人」はそれについてどのように考えてきたのでしょうか。今では、台湾独立派として政治活動を行う人も少なくはありません。

台湾独立派は日本統治時代を重視する傾向にあり、さらに現在の日本との関係も重要視している。そのため、中台統一派と独立派という二派の対立は、単に日台関係の良し悪しに影響を与えるのではなく、「台湾の対日政策」をどうするのかという問題と、統一か独立かをめぐる「台湾問題」、さらには自分たちが台湾人なのか中国人なのかを問う「台湾のアイデンティティー」と深く結びついているといえる。

中国は台湾により強い圧力をかけてくる

――現在、東アジアひいては世界における台湾の存在感が高まりつつあります。トランプ政権において米台関係が強化され、さらには香港の混乱と対比される際にも、台湾がクローズアップされています。当面の台湾外交の主な方針はどのようなものでしょうか。

中国の強硬な姿勢に対し、台湾はさらなる防衛力の強化と、台湾が持つ理念に近い国家との連携をより緊密にさせることで、国際社会での生存能力を維持する必要がある。アメリカは、台湾海峡における平和のためのキーマンだ。台湾にとってアメリカとの関係が重要なのは疑いようがない。中国の抗議があったからといって、米台関係が揺らぐことはないだろう。アメリカは中国の台湾に対する侵犯行為への対抗措置に協力している。

香港情勢について、中国は国際社会の声が耳に入らないほど忍耐力を失いつつある。これが意味するのは、中国の台湾に対する圧力も増大する可能性があるということだ。さらに踏み込んで言えば、中国は経済成長の鈍化や内政問題、米中対立、「一帯一路」の頓挫可能性といった中国内部に溜まる不満を抜くために、台湾へより強い圧力をかけると考えられる。

新型コロナウイルスが発生して以来、中国軍機は台湾に対し挑発を繰り返している。具体的に言えば、台湾海峡の中間線を超えて台湾側に侵入し、さらには中国戦闘機が台湾機にレーダーでロックオンすることも頻発している。中国は台湾の基本的な安全保障に深刻な脅威を与えている。このような中国の行動は、中国国内の問題を解決するためには、国内で解決をするのではなく、対外的な圧力を強めて武力衝突の危機を作り出すことで国内の不満をコントロールしているということだろう。

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