年収850万円超の人が節税に使える「親孝行」

大増税時代、非同居の親を助けて自分も負担減

AさんもBさんも、親の介護をされているのです。定期的に実家に通い、金銭的なサポートもしています。介護をしている親がいると増税の対象外になるかもしれません。

今回の改正で介護世帯に配慮されたからですが、そのためには親が特別障害者控除の対象である要件があります。要介護認定を受けていても特別障害者とイコールではありません。というのも、税法上の特別障害者には「介護保険法の要介護認定」の規定がないからです。逆にいえば介護状態が重いと思われる場合には、市町村から障害の程度について認定を受けることができればいいわけです。

今回のAさんとBさんのケースでは、どちらの親も要介護認定を受けているものの、そこまで重い障害状態ではありませんでした。そのため増税の対象外とはならず、増税対象となることがわかりました。しかし、まだほかにも検討の余地はあります。親の扶養控除、あるいは後期高齢者医療制度の保険料を納めることで、Aさん・Bさんの課税所得を減らせることが可能となるのです。

親の医療保険料を肩代わりして控除を受ける

聞けば、AさんもBさんも「別居の親に税法上の扶養控除を利用できる」ということを知りませんでした。「同居であれば扶養になるだろうと考えていたけど、別居の親を扶養に入れることができるとは思ってもいなかった」とのこと。別居の親であっても70歳以上であれば「同居老親等以外の者」として48万円の控除を受けることができるのです。

ただし、「親の課税所得が48万円(令和2年度改正)以下」という要件があります。公的年金による所得(雑所得)は、公的年金の年収から公的年金等控除を差し引くため、年金収入のみだと158万円以下になります。この控除の要件を満たしているため、Aさんは約11万円、Bさんは約9万6000円の税額を減らすことが可能でした。

また、親の後期高齢者医療制度の保険料をAさん・Bさんが納めることで社会保険料控除を受けることも可能です。

ただし、これには手続きが必要です。年間18万円以上の年金を受け取る場合は、保険料は年金から天引きして納付するルールがあるからですが、親が住む自治体で天引きの中止と口座振替の申請手続きを行えば手続き完了です。9月中であれば、12月の年金支給から天引きが止まる見込みです。Aさん・Bさんの口座から振替が始まれば以降の保険料に対して控除が可能になります。

具体的には、保険料1万3200円(年間)に対しAさんは3036円、Bさんは2640円の税額軽減となります。保険料は世帯の構成や収入に応じて算出されます。高齢化とともに社会保障費が増大する中で税負担が軽減される可能性は残念ながら望めないでしょう。であれば、親を金銭的にサポートすることで自分の税負担も減らすことを戦略的に考えたいものです。

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